カメラマンは、シャッターを切る瞬間にいくつもの判断を同時に行っています。

「この構図で何を切り取るか？」
「子どもたちの次の動きはどうくるだろう？」
そんなことをコーディネーターと相談しながら、現場の空気を読み、タイミングを見極めていきます。

いわば、“予想”の連続。
けれど、その予想すらあっさりと超えてくるのが、子どもたちなのです。
 

 

　『予想を超える瞬間』

Jiyugaoka
Photo write  by　Ikemoto
Coordinate by　Harada

ある日、5歳のお兄ちゃんと生後3ヶ月の妹ちゃんの撮影をしていた時のこと。
僕はお兄ちゃんに、「優しく妹ちゃんをギュッとしてあげて」と声をかけました。

その瞬間──
お兄ちゃんは、ゆっくりと瞳を閉じて妹にそっと額を寄せたのです。
さらに驚いたのはその直後。
妹ちゃんが、小さな手をふわりとお兄ちゃんの頬に添えたのです。
 

その光景を目にした瞬間、僕の思考は止まりました。予想なんて遥かに超えていました。

大人の感覚ではとても計れない、子どもたちの自由で、まっすぐな動き。
そんな“予想を超える瞬間”に出会うたび、心が震えます。

そしてその一瞬を、写真に残せたときのよろこびは、何にも代えがたいものです。