光が差し込む部屋の中で
淡い色のドレスをまとって、花を見つめている

静寂な空気感の中に、彼女はひとり、そっとそこに座っていました。

この一枚を見て、私はある写真家の言葉を思い出しました。
「みんなが見たことがないけど、知っているものを撮っている」

見たことがないけど、知っているもの”って、なんだろう。

例えば
「高台から見下ろす、知らない町の風景。」
「おばあちゃん家へ向かう途中の下り坂。」
「縁側に向けて、すっと立つ子供の小さな背中」

初めてみた光景なのに、懐かしさを覚えた経験などはないでしょうか。

目の前にある景色が、どこか遠い記憶をくすぐるもの。
 

見たことがないのに、知っているその感覚。
そういう“知っているようで知らない”ものが、日常の中にたくさん隠れているのかもしれません。
 

淡い色のドレス、インテリア、床を照らす斜光

どれも非日常的な空間ですが、その中にも普遍性を持たせたい

そんな感覚を写真の中にそっと残していきたいなと思います。

 

Photo by Ikemoto
Coordinated by Hidaka
Written by Ikemoto