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【 十歳。】

2019/2/10

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十歳というのは、節目の年。 

今までは、親の言うことに二つ返事で答えてきたが、このくらいの歳になってくると自分の考えをしっかりもち、自分の考えでしっかりで動く。 

親がさせたい事から、自分のしたい事に変わっていく。 

そしてそこに少し責任が生まれて来る。 

 

ある意味、一種の親離れじゃないでしょうか。 

 

自分の好きな事や勉強の事、友達、それこそ異性。 

様々なことを考え、理解し、葛藤していく。 

大人になるためのスタートに立った瞬間。 

 

それが十歳だと思います。 

 

彼もそんな十歳という時期。 

水戸店では男の着物は僕達、スタッフが着付けを行います。 

この日、僕とペアだったのは、北岑郁代さん(通称いくちゃん)。女性のスタッフです。 

彼女がパパとママと撮影の為のカウセリングが終わり、お着付けに入ったところでした。 

自分は、皆様に挨拶する為に二階の控え室に向かったところ、いくちゃんがなぜかお着付けをしているであろう和室の外にいました。 

 

 

服を脱ぐのを見られるの恥ずかしいみたい」 

 

 

いくちゃんからそれを聞いて、十歳の彼への配慮が足りなかったと反省しました。 

彼はもう大人になり始めている。 

それはそうですよね、誰だって異性の前で、しかも初めてあった女性の前で着替えるのは抵抗があります。 

僕もそうです。多分。 

二度ドアをノックし、彼に一言声をかけて僕は部屋に入りました。 

そこには、着物のお襦袢に四苦八苦している彼の姿が。 

今一度、反省をしました。 

慣れない服で、着方もわからない。外には女性、助けを求めることもできない。 

僕が最初に言った言葉は「ごめんね」。 

彼の気持ちを考えたら、まず謝る言葉が出ていました。 

 

そこからの自己紹介。 

 

お着付けは僕がし、最中色々な話をしました。 

サッカーをしている事や、好きな勉強の事、妹の事や、異性の事など、男同士でしかできない話。 

そうこうしている内に、彼の優しさや、真面目さ、年相応な所を感じ、お客様ではなくそれ以上の関係になった錯覚、彼の内面へ一歩近づいた気がしました。 

 

僕はそんな彼の、今の、今だけの、感情。 

異性や、友達、勉強、様々な感情を一枚の写真に写したかった。 

 

十歳といものは簡単には表現できません。 

僕らが思っている以上に十歳なのです。 

 

 

彼はもう、男の子ではなく男性への一歩を踏み出している。 

僕の写真がそんな彼の背中を一歩、せめて半歩押せる力になれるよう願い撮影に。 

 

生半可な写真ではダメ。 

そんなんじゃ、彼の背中を押すことはできないです。 

 

人生の先輩の役目、少しでも彼の手助けを。 

 

 

前も分析で書いたよう、彼も男性なのでカッコいい写真なのは大前提です。 

その中で、いかに十歳の多感な感情を表現できるか。彼の背中を押せるか。 

 

脳内をフル回転させ、イメージを構築していく。 

幸い、外は快晴、しかも強い西日。 

モデルは申し分ない。完璧。 

 

あとは、頭の中にある形のない写真を形のあるものに変換するだけ。 

構成要素をイメージし、具現化。 

脳内のイメージが完璧に一致してできた一枚がこの写真です。 

 

 

ポイント毎に説明いたします。 

 

 

一つ目、光。 

すごく今回の写真に重要な部分です。 

普段の写真では、僕は逆光、サイド光を主に使います。理由としては、写真のイメージをふんわり、優しくできるから。 

しかし、この場面ではそれは即刻脳内で却下を出しました。 

そんな光じゃ、この感情、葛藤を表現できない。 

 

今回、選んだ光は「順光」です。 

普段はあまり使わない光、なぜなら難しいから。 

一つ間違えると、汚い写真になってしまう可能性があるのです。 

 

僕が順光を使うときは、あるものを強調させたいとき。 

 

それは影です。 

 

カッコいいと感情を表現するために必要な部分。 

光がインテリアに遮られ斜めに影を作っています。それを画面の1/3しめる部分をファインダーに納めます。 

さらにその影が目の上を通り過ぎるように被写体を配置します。 

この辺の微調整は10歳というこの子だからできることです。 

 

ここで目の上を影が過ぎるようにすることにより、顔に明と暗を作るのです。 

こうなってくると、色も入りません。 

色はイメージがある。そんなイメージはグッバイです。

(この辺の理由は【格好良さを演出する。】に書いてあります。) 

影を強調し、色のイメージをなくしカッコ良くするためにモノクロで。 

しかし順光にすると問題が出てきます。それが立体感と肌のトーンです。 

立体感を出すために露出差を作る事です。 

手前の手に強い光をあてることにより、露出差を作り立体感を作り出す。 

顔まわりに、光が強くあたり白くなっている手と、腕ほどではないが光があたりグレーが多い鼻周り肌、そして右目から上の影の部分の黒、ここで露出差を作ってあげて立体感を出します。 

もう一つの問題が肌のトーン。 

実はこれがモノクロにした二つ目の理由です。 

順光の光は普通に顔に当てたら鼻などの凹凸がたくさんあるため、肌のトーンが汚くなります。 

しかしそれは色がついている場合です。 

グレースケールにすれば、白、グレー、黒の階調になり、画面を締めてくれます。 

 

 

 

 

 

感情というのは抽象的なものです。 

人によっては感じることも違う、それをどう写真に残すか。 

 

ちなみに抽象的の反対は具体的です。 

 

わかりますか? 

 

 

 

 

 

答えは、モノクロ。 

 

 

 

 

カラーというのは現実です。 

理由は物には色がついているから。つまり、色をつけることはその物を忠実に再現するということになり、具体的なのです。 

 

逆にモノクロは色がついてないので、非現実的です 

つまり、抽象的になるのです。 

 

 

モノクロ一つで複数の効果を生み出してくれていますね。 

 

 

 

二つ目、表情。 

感情を表現するのに大事なのが表情です。 

 

笑う=楽しい 

泣く=悲しい 

 

などすごくわかりやすいです。 

十歳というのは感情が目まぐるしくあります。 

それを表現してもらいための指示は、無表情。 

 

そう、真顔です。 

 

表情を表現するのに大事な部分は、目と口です。 

その一つの口をポージングで隠してしまうことにより、目だけに表情が全て表現される。 

そこが、笑っていなくて真顔ですと見る側に多種多様な感情を考えさせてくれるのです。 

違った言葉で表現すると彼の表情はアンニュイですね。 

そこに腕の光が当たってる部分を目のキャッチに入れることにより、十歳の力強さを。 

ここで表情と合わせるため首を持って軽く倦怠感を出すのも脳内にありましたが、それだと目にキャッチが入らないのではないかという考えがありまして、傘を使ったポージングにしました。 

 

 

三つ目、ポージング 

 

今回のポージングは傘両手で持ってもらい、地面につけてもらうというお願い、手の位置はキャッチの関係上、ある程度指示でお願いしました。 

なぜこのようなポージングにしたかというと、画面を構成するために三角形を多く作りたかったからです。 

人が美しいと思う形が三角形です。 

写真の技法の中の一つに、なるべく画面内に三角形を作るという技法があります。 

そうすることにより、安定感のある写真になるのです。 

 

 

 

 

解説は以上になります。 

 

僕はカメラマンで、写真しかできません。 

ですので写真で背中を押させていただきます。 

 

この出会いが、偶然か必然かどちらでもいいです。 

しかし、この出会いがの成長を促す力になれば幸いです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人への一歩をおめでとう。 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと君より長生きしている僕より。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

photo by Nihei 

 coordinate by Iku 

written by Nihei 

 

 

 

 

 

Mito 

 

 

 

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