店舗フォトジェニック集
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Best of Fujita August.2017
投稿日:2017/10/2
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その世界観の中にどう被写体を織り交ぜて、その世界の住人にしていくのか?というのがカメラマンの課題のひとつです。
今の時代どんな背景でも合成でつくることができますが、「今その場所にある光で、被写体を美しく表現する」ということは、このスタジオならではの特徴のひとつだと思っています。
自然光は時間、天気によって質を変えるので、そのときにしかない1枚を生み出します。
自然光を直接メインに使うのが多いですが、その光が窓から入り込み、床に模様を出すのも面白い使い方ができて好きです。
窓から差し込む光は、すでにつくられているインテリアがメインだとすると、第2のインテリアともいえます。
窓の形が床に映し出され、毎日そこにあるものとは違って、今しかない背景をつくってくれます。
この日は特に天気の良い晴れた日で、窓からは強い光が入っていました。
少し陽の傾いた午後すぎでの撮影だったので、西側から光が入り、床に反射していました。
被写体はとてもポーズの上手な彼女。
「なんでもできる」条件がそろっていました。
どう撮っていこうか?と考えるときは、カメラマンの最もわくわくする瞬間ではないかなと思います。
この1階では普段座らせてしまう事が多かったので、他に何かできないかなと考えました。
座ったり立ったりする以外で、この光を使えるポーズってなんだろうと思い、そうだ、寝転んでもらおう、考えました。
ただ寝転ぶだけでもつまらないし、彼女をこの空間での主人公にみせられるようストーリーを加えたくて、本を持たせました。
鞄だったり眼鏡だったり本だったり、小物を持たせると、ポーズは一気に「日常風景」のように変わります。
ポーズを日常風景のようにすることによって、被写体はインテリアになじみ、そこの住人になれます。
そして光を利用することで、その日常風景を美しく切りとる事が出来ます。
光が美しいので十分に綺麗な写真になるのですが、そこに前ぼかしをいれたのは、背景の輪郭をはっきりさせないことで、より幻想的にみせられるのではないかという意図です。
植物の緑や白ではなく、優しいベージュのドライフラワーは、光がちょうどよく取り込まれて、柔らかい雰囲気を出してくれました。
フォトグラファーは被写体らしさを引き出し写真として残す仕事ですが、このスタジオにどう被写体をなじませ、一枚の絵にできるかという仕事もあるのではないかなと思っています。スタジオを単に背景として見るのではなく、被写体となる主役はどんな人か、何をしているのかを写真を見た人に想像させられる「舞台」として見た時、この空間はスタジオではなく被写体の彼女のための空間となります。
そうして彼女を表現するイメージが生まれ、ドラマチックに見せられることができたときが、私の嬉しい瞬間です。
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