店舗フォトジェニック集
Photogenic
時間と残像のあいだ
投稿日:2025/6/29
46 0

6年前、まだ幼さの残る瞳でカメラを見つめていたあの子が、今日、目の前に立っていました。
言葉にするよりも早く、その立ち姿から感じ取ったのは――“時間が過ぎた”という確かな実感。
あまりに自然で、あまりに急で、思わず息をのむほど。
6年という年月の重みが、その瞬間、空気を変えました。
背も伸び、声も低くなり、言葉は少なめだけれど、
その佇まいには、幼さとは違う、静かで確かな“男らしさ”が滲んでいました。
15歳という年齢の、揺れ動く心。
無防備と警戒のあいだで揺れる、その複雑な光がとても美しく思えたのです。
だからこそ今回は、残像をテーマに撮影を試みました。
ストロボは使わず、あえてクリップオンのみで、シャッター速度を落とし、
ほんのわずかにブレを残すことで「今と、今じゃないもの」の狭間を描き出したかった。
そこには、確かに目の前にいる“彼”と、
すでに過ぎ去ってしまった“彼”と、
まだ見ぬ未来の“彼”が、薄く、重なり合って存在していました。
撮影後、ふと口にしてくれた「またお願いします」という言葉。
それが妙に、心に沁みて離れません。
変わっていくこと、離れていくこと――それが成長の証であるなら、
その一瞬一瞬を残せることが、私たち写真家にとっての使命なのだと、改めて感じました。
今日の撮影は、まるで時間と対話をしているような、不思議な感覚でした。
6年越しの再会は、写真という形になりながら、今も胸の中で余韻を残しています。
Photo by Chiba
coordinator by Naganuma
writing by Chiba
この記事をシェアする
サイト内投稿の検索