店舗フォトジェニック集Photogenic

Aoi

2020/2/9

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Photo by momoka matsumoto

Coordi by chappy

 

毎日毎日何百枚ものライフスタジオの写真を見ていて、ライフスタジオらしい美しい写真とは何だろうとふと考えます。

 

ライフスタジオの写真の良いところは

“被写体の美しさの表現に自由があること”

だと思います。

(まあそれは時にイメージの欠乏に悩んでいるカメラマンを苦しめることにもなりますが)

 

今世の中には、沢山の写真に溢れています。SNSを見れば、手軽にケータイで撮った写真もすごい機材で撮った写真も同じように「いいね!」の数を競い合っています。撮影者にとっては、どんな写真でも、思い出も込みでそれは一つの美しさなのでしょう。

そんなふうに、溢れている写真の中で、ライフスタジオで撮影する価値とは何でしょうか。

 

楽しかった思い出?可愛いインテリア?可愛いコーディネート?自然光?撮影技術?

 

今思いついたものは決して間違いではない、気はします。でもどれか一つだけが核心をついている要素かと言われれば違うと私は感じます。

では、わざわざライフスタジオで撮影する価値はどこにあるのか、と写真を見つめながら考える日々です。

ただ、一つライフスタジオという場所にいていつも感じているのは

私達が対峙しているのは「人」だと言うことです。

 

被写体にも私にもそれぞれの人生があって、考え方があって、好き嫌いがあって…子供でも大人でも、たくさんの経験と感情を積み重ねて生きています。

 

私と被写体が重なって対話する時間というものは、被写体の人生にとってほんの僅かな時間です。僅かな時間ですが、私なりに、撮影者なりに、被写体から感じた人間的魅力を自由に写真で表現しようとすることを許されている場所がライフスタジオだと思います。

 

多くの写真館では、人工の一定の光で、セットは正面から撮るもので、子供の位置は決まっていて、衣装も非日常感が強いもの、下手したらカメラも固定…というところも少なくありません。

決してそれが悪い訳ではありませんが、撮影していくうちにカメラマンがシャッターを押す機械になってしまっても仕方のない環境です。カメラマンがシャッターマンになったとき、おのずと被写体を観察しなくなります。せいぜい笑っているか、そうでないかの違いくらいしか見ることができなくなってしまいます。

被写体にどんな人生があって、どんな美しさがあるのか考える努力を止めてしまうのです。

 

先程ライフスタジオのいいところは「被写体の美しさの表現に自由があること」と述べましたが、ライフスタジオは「人」と対話し、「人」を見ようとしながら接客し、撮影空間を作ります。カメラマンはその撮影空間から得た情報を使って被写体の美しさを発見し、持てる撮影技術をフルパワーで使って、成果物として写真に残す、そんな環境です。

その表現方法は自由で、場所も光もコーディネートも小物もポージングも表情も、どれを切り取るかは決められていません。

カメラマンが見つけた被写体の人間的魅力を表現できるなら、その方法に正解は無いと思います。

幸いなことに、ライフスタジオを訪れてくれているお客様の大半が、私達が人の美しさを写真で表現しようと試行錯誤することを許してくれる方が多いという点も恵まれている、と思います。

 

私が出会ったこの子は、「同年代の子より違うものに魅力を感じている」ようでした。提案するとだいたい選ばれる女の子らしいスカートやドレスよりも、シンプルでクールなダメージジーンズとタンクトップを自分の意志で選んでくれました。

目が澄んでいて、真っ白ではない少し小麦の肌と、薄くて綺麗な唇、少し茶色い前下がりのボブは彼女の佇まいにぴったりだと感じました。

会話をしているとにこやかに笑うことも多く、年相応でかわいらしい、そんな印象なのに、カメラを向けるとプツン。となにかのスイッチが入ったように大人っぽくて魅力的な表情をしてくれます。まるで彼女は自分が撮られている写真をイメージしながらやっているようでした。

この美しさをどんなふうに表現しようか、私の脳はそれに集中し、声掛けのほとんどをコーディネーターに任せました。

 

彼女の掴めそうで掴めない、そんな雰囲気を表現するには、コントラスト強めで、被写体は明るくふわっとした感じよりも露出アンダーで、今にも動き出しそうな仕草の瞬間を捉えるという条件が必要だと思いました。

 

少し日が沈んで来たころ、窓際のコントラストがちょうどよかったので、棚に腰掛けてもらうことにしました。

 

この場所は、一見ナチュラルに見えますが、色の情報が多く、被写体よりもインテリアに目が行きやすいというのが難点です。情報量を減らし、被写体の存在感を強調させるため、彼女のコーディネートに合わせた白いレースの前ボケをいれてシンプルに設計しました。

また、撮影者の存在感をなるべく消して、彼女の仕草を影からそっと覗いているようなイメージをもたせることができます。

 

普通に「座って。」と声を掛けると物足りない感じがしたので、「片足だけあげて。」という条件を足しました。そうすると重心が前にきてしまい、顔が下がって、ますます暗くなってしまい、露出アンダーめな設定が、くどい。と感じたので、肘を後ろの柵において、「はーーー疲れたああ」って言う感じでいいよ。と声をかけました。

彼女の手首、足首、腰のラインが美しかったので、「そのままバケツのほうみて。」と声をかけ、首のラインと体の重心のねじりを作ります。

これは正直偶然ですが、彼女のボブヘアーにもラインができて、彼女の薄くて綺麗な唇とフェイスラインを強調してくれました。

 

時間にすれば0.2秒位だと思いますが、私の中の彼女のイメージと彼女自身がピッタリとハマった!と感じました。

 

被写体との対話を通して、人間的な魅力を、美しさを、発見すること。そして、それを表現しようとする努力をすること。

これはライフスタジオという環境だからこそできること、だと思います。

誰も見たこと無いような被写体の姿を写すことも、そのままの姿を写すことも、根底には被写体の美しさを表現しようとするカメラマンの努力があります。

それを体験することができるのはライフスタジオに来てくれるお客様だけだと思います。

 

カメラマンになった今、私はそれを多くの人に感じてもらえるように、「人」と対峙していることを忘れず、対話を繰り返し、被写体の人間的魅力を表現する技術を高める努力を怠らず、追求し続けていきたいです。

 

「Aoi」

 

Write by matsumoto momoka

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