午後4時。
西日が差し込む窓際で撮られた1枚。
視線の先には母親がいて、目が合い嬉しそうに笑う彼女。

親子が見つめ合う写真は珍しいものではない。
単に被写体それぞれがフレーム内に収まるだけの写真より
手を繋ぐ、肩に手を添える、見つめ合う
被写体同士が触れ合う事で、個々に存在していた被写体が1つに繋がり
家族としての関係性がよりわかり易く
より良く見える。

笑顔で見上げる彼女と共に母親は写っていない。
しかし私はその少し細めた目元や屈託無く笑う口元から
彼女が母親に持つ深愛、信頼の情を感じた。
互いが触れ合い 繋がる事以外の親子の温かい関係性がそこに表現されている。

今回は夕日が当たる窓際で撮影された事が被写体をより美しく見せている。
光を当てるのであればより窓に近い場所でも撮影可能だが、
それでは光が強すぎる。
少し窓から距離を置いたところへ座ってもらったことで
被写体に当たる光は落ち着き、
逆光
彼女を照らす夕日の温かい色味
その細い髪に着けられたレースの髪飾り
ドレスの胸元の柔らかな質感
前ボケの淡い白色
全ての要素が写真の印象を優しくする。
夕日に透けた植物は輝き
煌く笑顔とリンクする。

そこには彼女1人ではなく
家族の幸せな時間が映されていた。