Photogenic
越谷店
解きほどいて
投稿日:2018/10/30
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Photo by Kawahara Takako
Cordi&Write by Kanasugi Mayu
@Koshigaya
彼女はこの年齢にしては大人びた少女でした。
こちらの問いかけに現実的に返すような、なんだか小学生と話している気がしないような、「自分」がしっかりある少女。
そんな彼女は着物の柄も髪型も自分で決めていました。
基準は「大人っぽくあること」。
きっと彼女は自分の年齢よりも大人の女性に憧れを持っているのだと思います。
それが大人びた言動からも現れていました。
でもきっと、そんな彼女が笑う瞬間は年相応のあどけない表情をするのではないか。等身大の彼女の表情はどんな表情なのだろうか、と私は撮影前に思っていました。
越谷店では白いホリゾントで着物姿を撮影した後、インテリアのある部屋で撮影を行ったりもします。
その時に着付けの先生が「きっと彼女、これも似合うと思うの」と髪飾りをかんざしから大きなリボンがついた黒いハットに変えてくださいました。
彼女はより大人っぽい髪飾りに嬉しそうな反応を見せていました。
慣れない着物に緊張していた彼女の表情が少し緩んだようでした。
彼女はポーズも上手で、まるでモデルさんのようでした。
私たちの指示をさも簡単にこなしてしまう彼女。
そんな時わたしは彼女を楽しませる「お話好きなお姉さん」として彼女に接します。
彼女の自然な笑顔が出るのはどんな話題?
考えながら彼女と話をします。
沈黙の時間は緊張を促してしまうもの。カメラマンは撮影に集中し口数が減るからこそ「お話し好きのお姉さん」は彼女に寄り添います。
でも今回彼女をいじるようなトークは、大人びた彼女には不向き。
けれどそんな彼女も「このお姉さん、ばかだなあ」とクスッと笑ってしまうようなクイズは?
彼女が思わず笑ってしまった瞬間がこの写真です。
「ちゃんとやらなきゃ」という真面目な彼女が一瞬ほぐれた瞬間。
それは彼女の自然な表情が出た瞬間でもありました。
笑うと目尻が下がる彼女の目にピントが合い、画面左から注ぎこむ柔らかい光が着物用に化粧をした彼女のピンク色の頬も印象的に写します。
クローズアップですがこの位置で切ることで、優しい光が
肌にはそのやわらかさを
髪の毛にはその艶やかさを
着物にはしっとりとした上質感を
演出します。
普段自分が衣装を製作しているからというのもありますが、光は質感を表現するうえで重要な要素でもあります。
光が当たることによって、様々な素材がその質感の差を見せることができます。
それは顔によりズームしたクローズアップやインテリアに溶け込ませた引きの写真よりも、被写体に程よく寄った写真で見えてくることでもあり、様々な素材の差は写真自体に奥行きを持たせる効果にもつながります。
彼女の自然で柔らかい表情と、優しい光によって演出された奥行きのある質感。
この2つの要素が今回のこの写真の魅力をあげているのだと思います。
笑顔が出る瞬間というのは、張り詰めていたものが解けるような、被写体本来の魅力が出ている時なのではないでしょうか。
「笑って」と言うのではなく、思わず素が出てしまうような瞬間を、これからも生み出していきたいと思うのです。
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