Photogenic
越谷店
越谷写真18
投稿日:2012/4/26
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写真はその人の現在の姿を表面に写しだす。止めることのできない時間を一時止めること。それは写真だけが持っている特権だと考える。今この時の姿を一番可愛く撮ること、その人の特徴をうまく生かし表現すること、自然な姿を引き出すことなど。全てはカメラマンの役目であり、終わりなき課題だと考える。
このすべてのことを、立体的に残せるように準備された場所がスタジオだと考える。写真を撮る人は勿論だが、写真に写る人、写真には写らなくとも撮影を一緒に行う全ての人が楽しい気持ちで撮影に臨めば、写真1枚の中に残せる感情は無限大だと思う。
1階に、レンガでインテリアされている壁がある。キッチンとライトの中間部分、ソファーの向かい側にある空間。まさにそこだ。その場所には少しずつ違った色のレンガが集まり壁が作られている。そしてその壁には、ポスターが貼ってあり、単調なイメージの壁の構造を壊してくれる。ポスターの色により、少し古びてのっぺりして見える壁のつまらなさが無くなると同時に、壁に生気を与えている。
レンガの前に女の子がいる。
床の前には白い花瓶と小物の上に置かれた帽子がある。そして少しだけ写っている緑色のカーペット、細い鉄格子で作られた椅子が加わり、写真の雰囲気が完成される。
斜めに置かれた椅子により、被写体と壁の距離が感じられる、自然と被写体が少し立体的に見える。正面に椅子が置かれていれば、雰囲気はまた違っただろう。立体感が減り、距離感もちゃんと感じることができなかったはずだ。何よりも良いと思ったのは、椅子のラインが生きているということ。単純な椅子ではなく、ラインで繋がる椅子だということを正確に表現してくれている。
この写真から見て右側のラインは光により淡く変化したが、椅子の方のラインは正確なラインがでてきている。だから、この写真のバランスが良いのではないだろうか。
床に少しだけ見える緑のカーペットは、その空間部分をうまく埋めてくれている感じがする。もしカーペットがなく床の面がそのまま見えていたら、その部分が少し寂しく感じられたかもしれない。少しだけ床の部分を埋めることにより、花びらと調和を成し、穏やかにその場を見守っている感じがする。
光は適切な量で、被写体が写真の若干左側に位置することにより、空いた右側の空間を連結してくれるかのように埋めてくれている。
子供は白い服を着ていた。そこに明るい色のレギンスをマッチさせポイントを置いたのだ。裸足ではない色にポイントを置いたということが、この写真では大きな役割をしている。写真の中で被写体がただ立っているのではなく、色合いが調和されているため、生きているという感じを受けるように作ってくれた。指のラインも一役かった。とてもかわいく表現されており、指の位置も単純でありながらも単純ではない様を表現しており、そこに目線がいく。
この壁の前でたくさんの人達がいろんな姿で立っていたことだろう。椅子に座り、撮影をしたかもしれない、立って本を読んだかもしれない、壁に寄りかかり誰かを待っていたかもしれない、いろんな形の写真が撮れる場所だと思う。
でもなぜ、よりにもよって女の子に白いスカートをきさせ、色の濃いレギンスをはき、この壁の前で帽子で顔の半分を隠しながら花瓶の前に立つことになったのだろう?
カメラマンは、海辺の近くの公園に散歩をしにきた女の子に、水平線のはるか遠くを見つめるようなイメージをだそうとしたのだろう。被写体の姿を見て、視線が他の所に移る前に、この帽子がもっと下がったり、横にずれる前にシャッターを押したのだろう。
この写真からがを離せなかったもう一つの理由は、子供の表情である。帽子を被らず、帽子を横に引っ張りながら顔を隠して目だけが見える女の子。真正面ではなく若干横を見ている。被写体が真正面を見ていたならば、強い印象を与えたかもしれないこの写真は、なにか冷笑的であり、暖か味がありがらも、好奇心を醸し出す表情をしている。
この写真を見ている間、この子はどんな表情をしているのだろう。どんな考えを持ち、何を見つめているのだろう。と考えた。
写真を見る立場の人にとって、好奇心をわき出すのに十分なこの写真は、誰でも視線を止め考える。
この写真を見ながら、写真では光の色がとても重要だという考えをたくさんした。見るたび考えさせられる写真。だからこの写真が好きだ。見れば見る程他の考えをさせてくれる。こんな写真が良い写真ではないだろうか?
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