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水戸店
scrollable

【 好奇心 】

投稿日:2018/6/20

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このご家族が来たのは今月初め。梅雨入り前午後の日差しが入る上天気、 

最初、彼はちょっと緊張した面持ちでこちらを見ていた。 

 

撮影に入る前のバックヤード

彼の緊張をどうやってほぐすか、考えながら最初の着物の撮影に向かった。 

「こんにちは、今日カメラで入るニヘイです。よろしくね」 

僕が軽い自己紹介をすると彼は母親に促されながら 

「よろしくお願いします」 

そう答えた。 

 

いざ撮影が始まって見るとさっきの緊張は嘘かのようにポーズ、笑顔が決まっていた。 

確かに時折、ポーズと表情がうまい子はいる。 

しかしこの子は違う。明らかに撮られ慣れている。 

 

「ママさん!彼すごい上手ですよ!!なんでこんなに上手なんですか!? 

 

「実はモデルを少々やってまして...(笑)」 

 

通りで、上手いわけだ... 

モデルとしては完璧な被写体。 

それをプロのカメラマンとして如何に撮影するか。 

着物のカットはビシッと決めてくれた。モデルとしての彼を撮れた。 

 

次のシーンはカジュアルのお洋服。モデルとしての彼は前のシーンで撮れた。 

かし、まだ彼の。5歳児としての彼を撮れていなかった。 

いくらモデルをやっていても中身は5歳児。 

無邪気で、可愛く、好奇心があり、まだこの世に生を受け数年の命。 

将来なりたいもの”悪い海賊”。 

可愛い。 

この可愛さ、今しか残せないものを残したかった。 

 

この子の無邪気な、好奇心のある表情を撮ることができるのは水戸店のシンボルである森の合う部屋。 

その思いが通じたのかコーディがこの子に、この部屋にあったお洒落な服を選んでくれた。 

あとは僕の撮影技術に委ねられた。 

 

 

 

ここからは写真についての話になります。 

プロカメラマンとしていい写真を撮るべく統一感を作ることから始める。 

 

まず第一に服。 

ライフスタジオはインテリアに力を入れている。そして各場所にあったイメージの色がある。 

このイメージの色は服の色と思っていただければと思います。 

例えば水戸店だったら、小屋の場所は落ち着いた色や、ポイントに黄色や、赤が入った服。 

白い部屋には白やシャンパンピンクのドレスとかですね。 

今回の場合、僕が選んだのは【木がある部屋】ここの部屋のイメージの色は『緑』や『白』、『茶』などのアースカラーです。 

したがって、服に関しては背景にあってます。はい、10ポイント。 

 

第二にポージング。 

今回、無邪気なで好奇心のある写真を撮りたかったのは上記で言いましたね。ではどうすればいいか。 

ここで足を組んで顎に手を持って行きキメ顔で撮る。これだとパン屋さんでレバニラ定食を食べているようなものです。 

いいんですが、そこのお店で食べなくても良くない?って話ですよね。 

それと一緒でそのポージングでもいいのですが無邪気とはちょっと違う。ミスマッチってことかな。 

好奇心を表すために双眼鏡を持ってもらう。それで一言「木の上になんか居るんじゃ無い!?双眼鏡で見てみて!!」と声をかけます。そうするとドキドキやワクワクした感情を持ちながら木の上を見る形となります。 

木って何がいるかワクワクしません?カブトムシとかクワガタ、はたまた小動物や鳥類など男の子にとっては宝の山です。女の子はごめんなさい。 

と、まぁ、そうすることによってその子の好奇心、何があるかわからない、それを注視してもらうかっこになる。 

足も、開くことを考えました。しかしそれだとすぐ立ち上がれないんですよね。あえて足を閉じることによってすぐ立ち上がることができ、見つけた物にすぐ飛びつけるようなポージングにしました。 

しかも、木を見ることによってこの部屋を選んだ意味。全てがワクワクしません? 

大きい木があり、建造物がある。そこからハシゴが伸びその先には床があってテントもある。 

それだけで終わらずその先にもハシゴがありどんどん高くへ登っていく。 

画面全てにワクワクが詰まっています、さらにポージングもワクワクへの好奇心に繋がっている。10ポイント。 

 

第3に光ですね。 

一般的に光には向きがあります。よく逆光とか順光って聞きません? 

今回は逆光の光を選びました。被写体の後ろから光が来てますね。光はかめはめ波のように一直線に進んで行くので被写体を光源の前におけば後ろから光が来ているので逆光。 

効果としては、写真全体を雰囲気のあるふんわりした写真にしたり、写真をドラマチックにすることができます。 

光の向きには色々な効果があります。例えばサイド光、これは被写体の横から光があたっている状態を言います。これは陰影をハッキリさせ、画面を締めたり、カッコよく撮るときに使います。今回の写真の意図はカッコ良い写真じゃないですよね?さっきのレバニラ理論です。雰囲気のある写真でしたので逆光でok。10ポイント。 

 

 

ここまで書いていて写真を構成するものってすごい多いと実感します。そりゃ撮影疲れるわけだ。まだまだありますよ。 

 

 

第四にレンズ選びです。 

カメラをやっている人なら聞いたこともあると思いますが、大三元レンズというものがあります。タイプ的に『広角レンズ』『標準レンズ』『望遠レンズ』の三つです。 

基本これさえ揃えればある程度撮れると言われています。 

今回はその中でも標準レンズに当たる「EF24-70mm F2.8L」のレンズを選びました。 

なぜこのレンズを選んだというと、広角側で広く取りたかったからです。 

先ほど書いたように、ワクワクするインテリアを全て入れたく、そうすると望遠レンズでは全く入らず思ったように撮れません。 

では広角レンズの「EF16-35mm F2.8L」というレンズではどうでしょうか? 

これだとワイド端16mmで超広角レンズの域になります。簡単に言うとものすごく広い範囲を撮れると言うことです。 

それだと広く撮れて撮りたいインテリアが全て入ることになるのではないでしょうか。 

実はダメなんです。それはなぜか。 

結論から言うとインテリアが入り過ぎてしまうのです。統一感がなくなってしまう。 

と言うことから広角レンズではNG。 

では標準レンズでいい塩梅で広くインテリアを入れて撮影したとします。ここで終わると部分点で8ポイントです。惜しい。 

ではどうすれば10ポイントもらえるか、それは水平垂直です。 

これは写真の基礎でもあります。 

今回の写真は線が多いです。窓枠であったりハシゴ、テントが乗っている床など、こういった線が多い写真は水平垂直がきちんとされていないとクオリティがそれだけで下がります。 

安定感というものがあって、それができていないと不安定に。 

例えるならカレーに野菜が入ってない感じ。ルーだけ。 

今回の写真だと、水平垂直にすることによって線の安定感だけではなく、屋根を頂点にした綺麗な三角形も描けるわけです。これで10ポイント。 

 

最後に画面構成です。 

ここまで読んでいただくとすごく考えているのがわかりますね。では最後の項目です。 

画面構成ですね。小物の配置とか、色とか。 

気づいた人は気づいたかもしれませんが、この写真、ほぼほぼ『白』と『緑』と『茶色』で構成しているんですよね。 

これは服の項目でその場所にはイメージした色があると話をしましたね。しかし小物では赤い花とか、ピンクの小物などその場所には置いてあります。それはなぜか。 

それはそこで撮影する服が、必ずしも『白』や『緑』といったものでは無いからです。 

ある程度、色は揃えますが、服のポイントに入っている色などがあり、それと合わすために色の入った小物が置いてあります。しかし今回の服は見事に『白』と『緑』。むしろ色の入った小物があってはクオリティが下がってしまいます。写真は引き算なんて言葉があります。いらないものを排除し、クオリティをあげるそういうのが大切です。 

今回の写真はその引き算に則っていらない色を排除し、必要な分の小物を配置しました。 

10ポイント。 

 

こういったことを瞬時に考え出し、写真に出す。それはすごく大変なことです。 

しかしそれができた瞬間、すごい達成感があり、楽しく、お客様にも喜んでいただける。 

そうした一枚一枚を撮っていきたいです。

 

 

 

 

Photo by NIHEI
Coordi by KAZUKI

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