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水戸店
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重なるもの

投稿日:2018/7/20

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@MITO

Photo by TOSHI

Coordinated by NIHEI

 

 「写真」は、被写体と撮影者の関係性の中で描く作品である、と同時に、様々な環境条件や、周りからの働きかけによって描き出されるものでもある。その一つ一つが重なって、生み出されていく写真が、かけがえの無い一枚一枚となっていく。

 

さて、写真に映る主人公は、この日の最終枠に来た家族だった。最終枠となると最後のシーンを撮影するころはだいたい夕方にさしかかる。夏場に入る前のこの時期は、いつもなら明るい外も、数日続いていた雨が、この日も降り続き、冬を思い出させるくらいに光は落ちていった。

 

最後のシーンはカジュアルでの撮影。1階ホリゾンの明るい環境を選んでも良かったが、コーディに入ってくれた仁平くんが準備してくれた、黒いジャケットを着る彼女を前に、僕は一つの選択を自分に与えてみた。久々のアンダーな環境を活かして、この子のもつ大人の一面も残したい。

 

撮影場所は、階段上のアンティークを選んでいた。

 

ここにもホリゾンはあるが、光量はぐっと落ちる。彼女の立ち位置に最大限に気を使いながら撮影に集中する。故に会話もだいぶ少なくなっていた気がする。その脇で、コーディの仁平くんが主導して彼女にはたらきかけてくれていた。

 

イメージしていたのはコントラストがくっきりとした写真。この時に必要となるのは、強い光だ。光源にぐっと近づいてもらう。僕は遠い位置から彼女を狙い全身から半身と撮っていく。そして、アップの写真。彼女の側により、光に対して背を向けた彼女を横から撮影することにした。彼女との距離はそんなに取れない。レンズは標準ズーム。まずは一枚撮ってみる。

 

すると、隣で写真を一緒に確認しいた仁平くんが「ちょい待ってて」と動き出す。準備してくれたのは黒いレフ板。そして、「モノクロで行こう!」一言。

 

なるほど。 陰影が描き出す彼女の輪郭を際だたせるための、モノクロ撮影。背後にあったゴチャッとしたインテリを隠すための黒レフと、それがもつ布の質感が味のあるラインを描き出す。気づくことのなかった世界がそこに表れた。ミスターコーディネーター仁平のマジックショー。なにより、彼女のもつポーズのセンスと、雰囲気よ!よし肖像画のような一枚だ!となれば構図の確認。メインとなる彼女の可愛らしい表情はセンターに、そして、光のあたった髪のウェーブラインも入れる。よりかかる手の表情も美しい。あとはシャッターを。。。

 

こうして生まれた作品が100の力によって構成されているのだとすれば、ほとんどの部分を彼女と仁平くんが作り出してくれたのかもしれない。僕はシャッターを押した。たったそれだけかもしれないが、そこに至るまでの過程のなかで、三者が過ごしたかけがえの無い時間は、強く強く心に残るものだ。

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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