毎日がかけがえのない瞬間で、その瞬間を残すためカメラマンは存在します。 

その瞬間は今しかなく、明日になればそれは過去になる。 

その明日も、明後日になればまた過去になる。 

今というのは、過去と未来の間、目で見て、感じ、体感している現在です。 

このご家族も、今を撮影しにきてくれました。 

3歳での七五三。 

3歳男の子というのは、いやいや期真っ盛り。 

着物を切れないなんて良くあることです。 

しかし、この子はなんて事なく素直に着用して、余裕を見せてくれました。 

僕は毎回、おしゃべりできる子にはほぼ毎回聞く質問があります。 

「かっこいいのと可愛いのどっちで撮りたい？」 

彼は少し考えた後、小さい声で「可愛い」と答えてくれました。 

それならと、茶色の丸い帽子とまるメガネを用意。 

場所も普段着物を撮影している濃い緑や黒、重い色がたくさんある場所とは違う、木ある部屋にして明るい緑や茶色などのアースカラーで統一。 

光も逆光にして、少し上目遣いになるようカメラポジションをハイポジションで。 

あとは、世界観を作るために、本と木製のトランクケースを。 

男の子の場合和装というのはどうしてもカッコイイイメージがつきものです。 

しかし、小物と雰囲気によって、可愛いにも変換できる。 

可愛いは作れる。 

この子はこれから、きっとカッコイイものに憧れるかもしれない。 

しかし、今は可愛いのがいい。 

男の子だからかっこいい、女の子だから可愛いはもう違ういます。 

今のこの子だから。今この子が好きな事だから。 

だから僕らカメラマンは残します。 

今その瞬間を。 

photo by Nihei      

 coordinate by MAI 

written by Nihei