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読書⑧『インサイドアップル』アダム・ラシンスキー著を読んで その②

投稿日:2012/8/30

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『インサイドアップル』アダム・ラシンスキー著を読んで②

 

アップルは、所謂“偉大な企業”とされる会社の定義には当てはまらない。

社内での交流のなさ、社内に於いての徹底した秘密主義。外から、もちろん内部からでも

知名度と裏腹に全く見る事のできない経営手法。「ビジョナリーカンパニー2」の中に描かれる

第5水準の経営者にも当てはまらない。“部下と成功を分かち合い、責任を委譲する経営者。

偉大なリーダーは暴君であってはならず、部下の気持ちを尊重しなければならない。“この部分

において、ジョブズは正反対である。

権力の頂点に立ちながら、ジョブズは組織の驚くほど低いレベルまで細かく管理し、個人的に

マーケティングを運用し、製品開発の監督もし、広告代理店との毎週の打ち合わせもし、公式

イベントでの主要な役割を担うただひとりの役員であった。

この本の著者のラシンスキーは言う。このようなリーダーシップのスタイルが成功する会社は

ほとんど存在しない。存在すべきではないとも言える。CEOは「嫌な人」であってはならない。

社員を泣かせてはいけないし、チームの業績を独り占めすべきではない。しかしジョブズの祭壇

の前では、自分の公的な顔が消えてしまうことは、他の経営陣は受け入れざるを得なかった、と。

さて、私たちならどのような会社に身を置きたいと考えるであろう。自分と会社との関係、自分

にとっての会社、会社にとっての自分・・・。

アップルで自分のアイデンティティーを保ち喜びを感じながら仕事をする。という単純な事実を

求めてはならない、と思う。

では、アップルで働く社員の何が彼らの意欲をかきたて、何から喜びを得ているのであろうか。

閉ざされた世界の中で、過去にアップルに身を置いた社員に対する取材で明らかになっているのは

以下の事柄である。

アップルで働くことが楽しいという人はほとんどいない。「楽しい」職場かと訊けば、答えは驚く

ほど一致している。

  • アップルでは、打ち合わせでも週末を過ごした湖畔の別荘の話なんてしない。すぐに仕事の話を

  はじめる。

  • 他の会社の人たちとやり取りをすると、相手には集中力が足りないとかんじる。アップルでは

みんな全力で仕事に打ち込んでいるから帰宅してもアップルの事を忘れない。アップルで

している仕事がその人にとって真の宗教なんだ。

  • みんな、自分が手がけているすばらしいものに、しんじられない程の情熱を傾けているよ。
  • 成功を認め合って祝う文化はない。大きな意味を持つのは仕事そのものだ。
  • もし筋金入りのアップルファンだったら、魔法のように素晴らしい職場だよ。でも同時に

  本当に仕事がきつい職場でもある。製品を発案から発売まで持っていくわけだから、どれだけ

  残業しても足りないくらいだよ。

  • みんなアップルに情熱を燃やしているから、会社のミッションにぴたりと足並みが揃っている。

楽しい時間を求めてアップルに入社しないのと同様、彼らの目的は金銭でもない。アップルの給料は

他者と比べて遜色ないが、決してそれ以上でもないという評判である。

アップルで給料の話をすると眉をひそめられる。

「あのような会社で働くこと、かっこいいものを作ろうと情熱を傾けること、それがかっこいいんだ。」

おカネの話に全く興味を示さなかったことでも有名なジョブズは、アップルに於ける幸せと楽しみに

ついて、以下の含蓄のある考えを持っていたという。

『アップルで働くことが、人生でもっとも充実した経験だったと言わない人はいない。みんなそれを

 愛している。楽しんでいるのとはちがう。楽しみは訪れて去るものだ。』 

愛していると楽しむとは違うとジョブズは言い切っている。分かる部分もあるし、そうでないところも

ある。

だが、ジョブズやスタッフたちのこの感情は楽しみを超えた集中にあるのかもしれない。

仕事に対して、あるラインを過ぎた到達した人たちにしか感じ取れない何が・・。

ジョブズはよく、アップルを「とんでもなく素晴らしい職場」にすると語っていたという。それは

魅力的な特典や、福利厚生を指しているのではなく、社員がそれまでの人生で経験したことのない

ほど長時間、懸命に働く環境を作ることだった。それまでで、もっとも厳しい締め切りのプレッシャー

のもと、身がすくむほどの責任を負い、休暇もとらず、週末すらめったにやすまず・・。それでも

かまわない環境を作ることだ。むしろそれが大好きになりそんな環境なしには生きられなくなる。

アップルの社員は、自分達だけの仕事の歴史を共有している。それが彼らの絆であり、アップルに

いたことのないものには理解できないものだった。・・・と。

アップルの成功の構図はこうである。

ビジョンを持ったリーダーがいて、そのビジョンを実現する力があるとリーダーが信頼している

部下がたちがいる。ジョブズは最初から最後までプロセスに加わって、全てを自分のビジョンに

あわせる。どんな細かいことも疎かにせずにチェックする。そんなふうにして規律がうまれる。。。

製品づくりからパッケージ、そしてPRへと、極端なほどのこだわりと、とことんユーザーが箱を

開ける動作の瞬間までにも気を使う様は製造業の域を超え、芸術の粋に達しているといえよう。

そこに至るまで、如何にアップルが他社に対し高圧的で要求の多い、恐怖と強要の文化をおしつけ

ようと、私達ユーザーの抱く価値観は変わらない。

この本を読んで、私は今まで読んできたリーダーシップ論や経済について、又根本から考えを

正さなくてはならなくなった。

スタッフの気持ちを考え押し上げ、スタッフ1人1人のリーダーシップを高め推奨し、そして

楽しい職場。給与や福利厚生もきめ細かく・・・。

アップルの前にそんなことが何?と一蹴されたような気持ちにもなった。

アップルとライフスタジオは違う。けれど、職場が、リーダーからスタッフまで、「信じられない

ほどの情熱を傾ける事ができる場」であることは理想とする所である。

今回、この本を読んで、アップルという会社とライフスタジオを細かく分析比較したものを

文書化しようと考えていたのだが、甘かった。

想像を絶する文化をアップルは持っており、それを築いてきたジョブズという人を超えた人がいて、

私という凡人には、象に立ち向かう蟻のように、ただ圧倒されたというだけであった。

是非 皆様にも こんな、全ての事から超越した会社の存在の詳細を知っていただきたいと思う。

最後に、「アップルで働きたいか?」と訊かれれば、「いやです。」と答える。

なぜなら、本書にこんな一節があったからである。

――――転職した同僚を、釈放されたばかりの囚人にたとえた。「刑務所で20年務めて出てきた

ようなもので、誰も知り合いがいないんだ。」―――――

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