この写真は、「青」という色彩の持つ力を、構図と質感のバランスを通して巧みに表現しています。

 

意識として、画面全体に広がるブルートーンの統一感です。背景に配置された青い花々、被写体の女の子が身にまとう青のドレス、そして彼女が手に持つ大きな水色の花——それぞれが異なるニュアンスを持ちながらも、調和のとれた色味で構成されています。ワントーンでありながら、階調の違いが写真に深みと静けさを与えているのが印象となるように。

 

構図には、写真表現において基本ともいえる「三分割法」を丁寧に適用してみました。被写体は画面を縦横に三等分した交点に配置されており、視線の導線が自然に組み立てられています。構成として非常に安定しており、写真の中に秩序と安心感をもたらしています。まるで教科書に掲載される一例のように、構図の原理をそのまま美しさとして昇華させているように感じられます。

 

また、前ボケと後ろボケの使い方にも細やかな配慮を意識。前景にはわずかに柔らかなボケを加え、空間に奥行きを与えています。一方で背景も控えめにぼかされており、被写体である少女の顔立ちや、手に持った花の輪郭がより際立つよう設計されています。視線の焦点を明確にしながらも、全体に漂う空気感を損なわないこの表現はバランス感覚のようなものを考えました。

 

「青」は本来、冷たさや距離感を連想させる色でもありますが、この写真の中ではむしろ温かさを感じさせます。それは被写体の柔らかな表情と、花という自然のモチーフが、色の持つ印象を穏やかに中和しているからです。

 

この一枚は、色彩・構図・光・被写界深度といった要素を丁寧に重ね合わせながら、「静けさの中に宿る美しさ」を語っているようにしています。一見シンプルに見えて、実は多層的な意味と計算重ねた写真になります。

 

photo by Chiba