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『 あなたのそばに 』

2020/10/20

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『 あなたのそばに 』

photo : Masashi Kuroki|coordi : Kimiko Moriya

No.24 Life studio Shonan

 

 

「 いつ死ぬか分からないから家族みんなで写真を撮りたい 」

11歳のお兄ちゃんから出た言葉がこの家族との始まりでした。

 

 

写真館に行こうと思う理由は様々ですがその多くは子供たちの成長を残すという事でしょう。

誕生日や節目など、それがきっかけとなって皆さんにお越しいただいています。

そして、きっかけが何であれご来店されたたくさんの方々に私は「家族写真を撮りましょう」と勧めてきました。

しかしながら、写真を撮りに来たきっかけは子供たちの記念でありメインとなるのはもちろん子供たちです。

なので、親御さんの中には「家族写真はいらない、自分たちは写りたくない、子供達だけでいい」という方も少なからずいらっしゃいます。

私は家族写真を勧める側の人間ですが「家族写真はいらない」というその気持ちも良く分かります。

なぜなら、私も写真に写った自分があまり好きではない事、そしてまだ私には子供はおりませんが子供がいたとしても自分と一緒の写真よりも妻と子供、もしくは子供だけの写真をたくさん残したいと思うからです。

ですが、家族写真を勧めるのにも理由があります。

それは、時代が時代だったので自分が幼い頃の家族写真はそんなに多くは残っていないという事。

そして中年になった私の両親はもう当然高齢であり、今になって親父とおふくろとの写真を残したいと思っているからです。

つまり家族写真は子供達が大きくなってから必ず必要となるものだからです。必ず。

でも、このお兄ちゃんが言った「いつ死ぬか分からないから家族みんなで写真を撮りたい」という言葉の意味はそれとは少し違うかもしれません。

2020年、現在の状況に子供たちも何と言葉にして良いか分からない様な不安や心配を抱えていることは間違いありません。

今まで、私自身そして誰しもが「そんなきっかけ」で写真館に行こうなどと思った事が無いのではないでしょうか。

そんな彼の言葉を出会って早々に聞いた私は「じゃあたくさん撮ろうね」とママさん、お兄ちゃんそして二人の妹たちと話しをしていきました。

 

家族写真を撮り、兄妹写真を撮り、さらに撮影を進めていくうちにママさん一人の写真を撮る運びになりました。

とても生き生きしていて笑顔のママさん。

そんなママさんから出た一言「もっとママたちは綺麗でいいんです。」

その言葉がとても印象的でした。

白いワンピースを活かすためライトは最小限にし「この人がこの人であるためのそれ」を摸索し舞ってもらいました。

その周りには子供たちがいて、子供たちの笑い声とママへかける言葉。

そして子供たちが吹いたシャボン玉の中ママさんは舞いました。

 

その状況を目の当りにし、この現場のど真ん中にいた私はどことなく心が晴れた気がしました。

というのは、常日頃ぼんやりと頭の中に浮かんでいた「家族が写っていなくても家族を感じる写真はあるのではないか」というもの。

あくまでも私独自の解釈の話ですが、まさに今がそれだと感じました。

合わせて、家族に囲まれ、笑顔で舞い続けるママを見るお兄ちゃんの楽しそうな顔を見て、お兄ちゃん同様、私も感じている『今』への不安から少し開放されました。

 

写真に写っているのはママという女性一人。

でも、あなたのそばにいる子供たちの声も思い出も写真に写っている。

いや、写ってはいません。

ですが、いつかこの写真をこの家族の中の誰が見てもこの時の記憶は蘇る。

なぜなら、この写真は家族のみんなで一緒になって撮った写真だからです。

あの日あの時あの場所で、家族みんなで残せた写真。

写真にはそんな秘めた力が沢山あります。

 

 

写真を撮るきっかけとなったお兄ちゃんの言葉。

『今』という不安から発したことではありますが、この先の明るい未来も見えた気がしました。

さぁ撮りましょう、家族写真を。

 

 

Written by Masashi Kuroki   Shonan

 

 

 

 

 

 

                                      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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