店舗フォトジェニック集Photogenic

冒険が始まる

2020/1/22

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Photo by Lisa Arai
Coordinate by Izumi Hashimoto

「いい写真」とは何だろう。ライフスタジオで働くようになってから、この言葉が常に頭にあります。
いい写真とは、美しい写真とは。
被写体の表情が良ければいいのか、笑顔があればいいのか。
過去に違うスタジオで撮影したことのあるご家族からは、
「この前はがちがちに固めて撮っていてちっとも自然じゃなかったので、ライフスタジオさんでは是非子ども達を自然な感じに撮影してほしい。」
そんな言葉をよく頂きます。
さて、この「自然な感じ」というものは改めて考えてみるとなかなかに曲者です。
なぜなら本当に子ども達を自然なまま解き放った場合出来上がるのはご家庭で撮影するのとなんら変わりないスナップショットで、その無秩序な状態で撮影したものはプロとしてのクオリティーを保てていない場合がほとんどであるからです。
ではそのクオリティーを保つために大事なことは何か。
それはざっくり言ってしまえば、
・構図
・光
・被写体の表情
この3点であると考えます。
この3点が画面の中でカメラマンのイメージからズレることなく違和感なく調和していること。これが成立している写真が「いい写真」と言えるのではないでしょうか。まだ写真について勉強を始めたばかりの私の論なので異論はたくさんあると思いますが、この文ではそれを「いい写真」の定義とします。

では、それを踏まえて今回の写真を見てみます。

この写真の主人公は七五三の記念でご来店。
5歳さんらしい腕白さと素直さを併せ持った笑顔がとってもかわいい男の子でした。
「七五三の記念は着物でしっかり撮ったから、次の衣装では彼らしい腕白さが出た写真にしたい。そのためにゲーム感覚で遊んでもらえるようなかたちを作ってアシスタントに臨もう。」
そう考え、常設のインテリアである木の台と並んで階段状になるように椅子を設置し、撮影をスタートしました。
アスレチック感覚で楽しんでもらうための椅子の階段。しかし写真を撮る側にとってはそれだけではありません。
ちょうど時間帯は夕日が差し込み始めた頃で道路沿いの窓から明るく降り注ぐ頃。
台のあたりはその夕日の強い逆光と玄関からのサイド光で照らされていました。
道路沿いの窓際にある木の正面から撮影することで明るい背景とそれよりも暗い位置にいる人物との明暗差が生まれ、画面上に奥行きが生まれるように仕組んだ舞台装置。さあ、彼はどんな表情を見せてくれるのだろう。カメラマンのリサさんとドキドキしながら見守りました。
そんな私達の心境など知る由もなく彼は進んでいきました。表情は自然とほころび、意気揚々としたその姿は“わくわく”という効果音が見えるよう。その姿を見逃すことなくリサさんがシャッターを押したのです。
この写真は非常にきれいな構図をしています。余分な余白がなく間延びしていませんし、 カメラマンの神経が隅々まで行き届いているので意味もなく写り込んでしまった要素がないのです。その結果本当に室内スタジオで撮影したのだろうかと思ってしまうほど世界観が出来上がっています。画面の中の少年がこれから冒険に出掛けようとしているかのようで、見ているこちらがわくわくしてしまいます。

被写体と向き合い、イメージし、光と構図を選び世界を作る。その世界の中でいきいきと人物が生きていてこそいい写真となる。写真を撮る上で忘れてはいけない大事なことを伝えてくれる一枚になっているのではないでしょうか。

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