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「かたちづくる」

投稿日:2024/4/19

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Photo & Write by Yoko , Coordinator by Kurumi

 

 

大人数の撮影が大好きな私です。

兄弟やご家族の人数が多いと確かに整理が大変で脳みそに汗をひたすらかく撮影になりがちですが、やはり人が増えるとその分だけ、1枚の写真に物語が多くなっていくように感じます。(思えば私が初めてフォトジェニックをいただいた写真も6人姉妹のお写真でした)

 

 

違和感のない写真が大好きな私です。

では違和感のない写真とはなにか?

これの言語化、ようは説明が苦手な私です。

何でもないように見える写真のほうが、実は様々な指向性が働いている。

この1枚にしても、人数が多いことは別にして、結構な量の汗を脳にかいたことを覚えています。

 

写真について後輩に質問されたとき、「その写真の違和感を探してみるといいよ」なんて偉そうなことを言う私ですが、ではその違和感とは?それがあったとして、なくすためには何をしたらいいの?守屋は何をしているの?と聞かれると、たいてい言ってしまいがちなのが、『気持ちよくとればいいんだよ』という言葉。

 

この『気持ちよく』というのは精神面での話やただ自分の好きに撮るということではなくて、主にフレーミングや余白の開け方のことが多いのですが、改めて私は感覚でその『気持ちいい』をやっていて、『なぜそれが気持ちいいのか』を説明できないのだと思い知りました。

 

ので、ちょっと頑張って説明してみたいと思います。

 

 

■ポージングの組み方

言わずもがな4人兄弟。長男、次男、長女、次女の年齢順。

マストで撮ろうと思っているのは立ち姿ではありますが、その子たちの状況やそれこそ関係性に合わせてポージングを組んでいきます。

まず大前提が2つあります。

1つ目は、「このポージングが最初から頭にあること、なおかつそれが被写体にとって苦痛ではないこと」。

カメラマンにやりたい構図やポージングがあったとして、それが被写体に無理をさせることだったり、あまりに時間がかかりすぎたり、ご家族の気持ちを無視したようなものであれば、それはもうライフスタジオではないと私は思います。

 

2つ目は、「被写体同士が触れ合っていること」。

これはどういう構図で撮るかでまた変わってくる場合もあるかとは思いますが、わざと離して撮る場合を除いて私は「触れ合うこと」をかなり大事にしています。

それが写真を通して「家族のつながり、関係性」を表現してくれる要素になると思っているからです。

あと現実的な話、被写体の密着するとポージング(構図)の中に無駄な余白が開くことがなくなることが多いです。これもまたケースバイケースですが。

 

このポージングを組むときに一番気を付けたことは、このカメラ目線の1枚を撮るときにとにかく全員の手足、ひじの角度、つま先、関節まで全部見てきれいにまとめることです。

一つでも妥協があると、それはのちに違和感として写真に現れます。

一番左にいる次男君の座り方・肘の置き方・体重のかけ方、下でみんなを支える長男君の膝の曲げ方、右側の長女ちゃんの足を外ではなく内に向かって延ばしてもらうこと・次女ちゃんへくっつくことの声掛けなど。

これらの細かい部分まで見えているか、あるがままという言葉を利用し放置していないか。

常々、カメラマンというのは頭の3分の2以上を冷静でいなくてはいけないと思います。

 

 

■三角形を作る

皆さんも一度は聞いたことあるでしょう。家族写真では三角形(山)を意識して組んだら綺麗になると。

この写真でも同じです。綺麗にまとまるよう、おさまるよう、山を意識してみんなを集めています。

頭を真ん中に寄せることで山は作りやすくなりますが、それを被写体がやりやすいようにというか、より綺麗な山を作るためにも大切なのは最初のポージング組みの時点で誰をどこに配置しているかです。その考え方の1つとして身長だったり、被写体の性格や関係性を私は大事にしています。

(よく見てみたらこの写真、でっかい山とみせかけて、小さい山が2つあるようにも見えますね。おもしろい。)

 

■余白のとり方

これが私の一番の気持ちよくやりたいポイントです。

ホリゾントで撮るときにこれが綺麗にできているかいないかで写真の完成度というか、違和感のあるなしが出る気がします。

見ればわかる情報として、左右余白が1:1、上下余白が2:1です。

なぜこの余白のあけ方を気持ちがいいものとして選択しているのか?それはポージングに起因します。

要は、重みがどこにあるかということです。

このポージングの重みは、長男君が寝ていることで下に集中しています。

そこから、上下の余白の比率が決定されます。下が重い→下の余白を少なくしても違和感がない。逆にここで下あきにしてしまうと重みが安定しなくなり違和感が生まれます。ホリゾントで下開きの写真を撮ってしまうと宙に浮いているような写真ができてしまうことってありますよね。それです。

その下の余白に対して上の余白をどれだけ開けるかも違和感生まれるポイントです。

ここで上の余白をあけすぎてしまうと今度は左右の余白も自動的にもっとあくことになり、全体を見たときにこちらに目線を向けてくれている被写体の存在感が薄れてしまいます。

結果、左右1:1・上下2:1という余白のあけ方を私はベストと判断しこのフレーミングでシャッターを切っています。

 

■コーディネート

コーディネートはただのおしゃれじゃありません。写真を構成するものすごく大切な要素です。

その子たちに合う衣装をコーディネーターが提案してくれるからカメラマンは写欲が沸いたり、イメージが確立したり、それこそポージングを決定することができます。

4人兄弟のこの子たちに見事なリンクコーデを提案してくれたくるみん、流石です。

 

■被写体と撮影者の関係性

この子たちがしっかりカメラを見て、この表情を浮かべていることから我々との関係性が伝わるのではないでしょうか。

一見ちょっと難しそうに見えるポージングも、お互いの声が通る関係性があればこそ、遊びの一環として成り立っていきます。

むしろその関係性と空間がなければ、これはもはや我々のエゴであり、「やらせた」という不自由な違和感がどこかに発生してしまうと私は思います。

 

 

ここまで長々と書いてみましたが、じゃあ撮影の最中にこれを一から思考して「ここは重さがこうだから・・・余白を2:1に・・・1:1に・・・・・」という風にやっているかといえば、それもちょっと違う。

それこそ私のこの時の脳内って「気持ちい画角!気持ちい余白!!フレーミング!!」くらいのもんです。

要は、たぶん、今回言語化してみたことを「気持ちいいもの」として脳と身体にインプットしていて、自然とそれを求めて動いてシャッターを切っているんだと思います。

自然にできるようになるにはそれこそ経験だったり、どれだけ考えてシャッターを切ってきたかだったり、あるいはどれだけ勉強と練習をしているかではないでしょうか。

間違いなく言えるのは、良い写真を撮るカメラマンは、誰よりも勤勉であるということです。

 

 

今回私にしては珍しくこういう文章の書き方をしてみたのですが、自分がどのような選択をして実際に写真を撮っているのかを改めて整理することができました。

ほぼ感覚でやっているように思っていたのですが、実はこんな風に私って写真を撮っていたんだなぁ。笑

 

しかしながら、やはりというべきでしょうか、写真にゴールはないですね。

だからこそ写真を撮ることも、こうやって写真分析を書くことも、全部まとめて撮影って楽しいものだなと思うわけです。

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
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