フォトジェニック


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2016年8月のフォトジェニック

投稿日:2016/9/15

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Photo by suzuki(鈴木裕之)

HPにこのような文章があります。

Life Studio はなによりも関係を大事に考えます。
スタジオを作り出すたくさんの要素の中でも最も大事なものを選べといわれたら “被写体を動かす力” だと考えます。

 

被写体を動かす力とはなんだろうか?
 

とても抽象的な言葉のため、単純に「被写体に自然なポーズ」を指示することが「被写体を動かす力」ということができるでしょう。
そのように思う理由は、ライフスタジオは「自然・自由」というイメージを与える写真が特徴的だからです。
このようなイメージは日本の写真館にはありませんでした。
写真館の写真は歴史が説明してくれます。

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写真館の写真を辿っていくと、自分の姿を絵で再現する肖像画がモデルになっています。

カメラが登場すると肖像画が肖像写真に移行していき、リアリティであることが大きく異なっているだけで、肖像画と肖像写真の構成要素は大きく差がありませんでした。

その理由は、カメラの技術的な制限に要因があります。

カメラの技術がまだまだ発展途上だったため、被写体が10秒間動いてはいけない制限があったからです。被写体が動かないように頭を固定する器具も必要だったようです。

そして、撮影するまでにたくさんの機材とたくさんの光が必要でした。

現在のように、数えるだけの準備で簡単に写真は撮れる時代ではなかったのです。

写真館は技術者の実験室のような空間になってしまい、撮影者は「ただ撮るもの」として存在しており、被写体は「ただ撮られるもの」として存在しているだけの、ただ要求を出すものと受けるものの関係になっていました。

だから、被写体に特別な表情や動きがなく被写体が単なる物として、真ん中に写っていることが多いのです。

こうして写真館の写真はカメラの技術が発展したことに関係なく「不自然・不自由」というイメージを与える写真が特徴になっていきました。

そのイメージを壊したのがライフスタジオだと言えます。

被写体の体を自然に自由に動かすため、制限を最小限された工夫がされています。

 

①ストロボではなく蛍光灯と自然光を光源にすること。

②どこでも撮影可能なスタジオ空間にすること。

 

この2点により、被写体は既存の写真館から自由になったといえるでしょう。

だから、私たちカメラマンは可能な限り空間を自由にする条件を作り出し、その中で最大限に被写体の美しさを引き出していかなければならないのです。

しかし、ただ「被写体の体が自然に自由に動くこと」だけが「被写体を動かすこと」ではありません。

私たちの写真で被写体の心も動かすことーも含まれているのです。

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被写体の心がどのように動いたら本当に動いたと言えるのでしょうか?

私はこう思います。

承認欲求という言葉があります。

人は誰しも他人に認められたいという欲求を持っています。

それを承認欲求と言います。

アドラー心理学は、その承認欲求に基づいた行動を否定しています。

なぜ、アドラーが承認欲求を否定するのでしょうか?

承認欲求とは、

「人に認めてもらうために良い行いをする」

という考えに基づいているからです。

しかし、この考えでは

「褒めてくれる人がいなければ適切な行動をとらない」

という危険性もはらんでいるのです。

人は本来、他人の期待を満たすためだけに生きているわけではありません。

他人の承認ばかりを優先するような行動は、結果的に自分が本来やるべきこと

に没頭できなる可能性があります。

承認欲求を持つことは悪いことではありません。

人として認められるということは、本当に素晴らしくかけがえないことです。

ですが、まずは自分が自分を認めること、自分が自分を必要とすることーの方向に心が動くことが重要なのだ私は思います。

1枚の写真で「知らなかった私」を発見して心が被写体自身に動いた時が、被写体を動かすことだと言えるのだと思います。

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この1枚の写真は、まるで被写体が映画の主人公のようになるように構成されています。

被写体の日常的な瞬間を切り取った【自然な姿】という特徴の写真というより、被写体が映画の主人公のように演出された【非日常的な姿】という特徴を持っています

そのような意図があったため、構成美という技術で「知らなかった私」を表現することを考えていました。

構成美とは【比率・線と点・材質・色彩・光】という数理的・心理的に美しいとされるイメージをスタジオの空間を利用して被写体と構成することです。

 

【比率】

左右対称と1/3構図という数理的にバランスが良いとされる比率で、写真全体を視覚的に安定させている。

 

【線と点】

写真の中に複雑に線が混じっているが、基準となっているのは縦となる線があるため四角の中にバランスを確保している。左からトタンの線、中心の柱の線、天井からぶら下がっているライトの線が基準となっている。

 

【材質】

インテリアは、古さや懐かしさを感じさせるようなアンティークではなく、近代的を感じさせるようなトタンやライトといったような人工的な材質がほとんどである。そのことにより、都会的な新しさのイメージを作り上げている。

 

【色彩】

モノクロ写真であるため、白と黒の色彩で構成されている。モノクロ写真の特徴は、2つある。一つ目は、複雑な色彩を人為的に単純化できるため、視覚的にシンプルな写真にできることである。シンプルというのは美しさの条件である。二つ目は、光のグラデーションが視覚的にわかりやすく表現されることである。単純に白と黒というわけではなく、階段のように白から黒にかけてのさまざまな色があり、それが光のグラデーションとして認識されるため、美しく見える効果がある。

 

【光】

メインライトは被写体の左に仕込んであるボックスライトである。コントラストをできるだけ被写体の輪郭に当てるようにしており、被写体との距離も近い。バックライトとして被写体の後方にも光源があるため立体的な効果をもたらしている。また、右側にある天井からぶら下がっているライトの光の量が異なっているため、写真が平面的にならずに、遠近感のある空間として演出されている。

 

できれば写真で人の心を動かしたいという渇望はあります。
それは顧客から「かわいいですね」を超えて、1枚の写真で顧客が顧客自身を認められて、その人の人生が動くような写真をいつかは撮ってみたいものです。それが、関係を大事にするということなのかもしれません。

 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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