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光で描く、光は語る

投稿日:2018/10/3

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Photo and Write by HIRO

 

光で描くあなたの輪郭。

シンプルなモノクロの世界に写し出されるその曲線は、

力強くあなたの存在を語り出す。

私たちの知らない、あなた自身も知らないあなたの存在。

光で描かれた世界であなたは何を語るのだろう。

 

 

スタジオには様々な光が存在し、その使い方は数え切れないほどあります。

単純に言えばサイド光、順光、逆光とか。

その光たちをどう見つけ、どう使っていくのか、それは表現の幅にも大きく影響してきます。

 

その中の一つに光で輪郭を作るライティングがあります。

逆光か半逆光で輪郭を包み込むように少し光が回り込んだ写真。

光が全体に回るような場所や、安定した写真のクオリティーを出しやすい単純なサイド光だけでは見つけられない、繊細に光を捉えていかないと写せない写真です。

その写真を入れることで原本の中に一つの流れの起伏を作ることができ、他の写真では見つけることのできなかった新しい被写体を見つけることができます。

 

個人的な感覚かもしれませんが、この輪郭を作る写真では何かハッとさせられるような普段の被写体とは違った側面を見れたような感覚になることが多いです。

いつも一緒にいる親も知らなかった自分の子どもの一面に出会ったような。

写真の中から何か被写体が語りかけているような。

普段意識していなければ見えない、光が輪郭を描く瞬間を写真として捉えているからかましれません。

そこに知らなかった被写体を見るのかもしれません。

 

光は被写体を表現します。

光は言葉では何も語らない写真の中の被写体に声を与えます。

逆光の写真なのか、コントラストのついたサイド光の写真なのか、また光の色はどんな色なのか。

それによって被写体の魅力の見え方は大きく変わるでしょう。

写真だからこそハッキリと捉えて写し出すことができる光の輪郭は、

日常では聞こえない声、被写体が持つ魅力を表現し語ってくれるのだと思います。

 

今回の被写体の子は、とても引き込まれる魅力を持った子でした。

ファインダー越しに何か吸い込まれるような。

その仕草や表情からは掴めば手の隙間から溢れるような小さな砂のような感覚を覚え、

この子の魅力をもっと捉えて表現したい!と思いながら撮影をしていました。

その中で挑戦した光で輪郭を描く写真。

光と影をより強調し、光の輪郭に照らし出された表情や雰囲気に集中させるためにモノクロ写真を撮影時に選びました。

色はたくさんの情報を含むので、その情報をシンプルなモノクロにし単純化しています。

表情に注目するために寄ってクローズアップ写真にする選択肢もありましたが、彼女の仕草や雰囲気を捉えてインテリアを含めた世界観で表現するために引きの写真にしました。

写真の中の彼女と撮影者の関係を切り離し、彼女を写真の中の世界に入り込んでもらうために前ボケを入れました。

光に反射する部分を前ボケに使うことで、画面の中に光の直線を入れて構図に動きも出しています。

あとは彼女の顔に合わせて光が一番綺麗に輪郭を描く角度に顔を上げて調整してシャッターを切りました。

 

光を繊細に捉えてそれを自らの意図を持って選択し表現すること、

それは被写体を探して写真の中に表現することと直結しているのだと思います。

言葉なき光の声に耳を傾ける時、そこに被写体の語りかける声があるかもしれません。

 

あなたの声を見逃さないように。

光の声を見逃さないように。

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