Photo by HIRO

Coordinated by Kubo

 

200mmという焦点距離で撮られた写真。

この焦点距離は普段スタジオで使用するレンズの一番長い焦点距離である。

200mmという距離で撮るときの一番の効果として考えられるのが、非現実の演出だと思う。

普段、肉眼で見る世界は焦点距離でいうと50mmに近いと言われることが多い。

それよりだいぶ長い焦点距離の200mmでは、レンズの歪みや圧縮効果、ボケなどにより肉眼で見る世界とは大きく異なって見せることができる。

現実にあるものを写す写真というものの中で、非現実的な効果を見せられることは表現の手法として重要なことだと思う。

今回の写真ではとても上手に動きを見せてくれていた彼女を信頼して、かなり遠くからの撮影になる200mmを使用しての全身の動きを表現しようと決めていた。

200mmが持つ独特の世界の中で彼女のしなやかな動きが目一杯に表現されるように。

彼女が動きやすいように、また写真の重心をとるためにも大きめの椅子を準備した。

また、200mmの特性であるボケを利用するためにレンズの手前に柱の縁を前ボケにし、大きくボカして霞みがかった雰囲気を演出し、被写体との距離感を作り出している。

レンズの焦点距離だけでも大きく印象は変わる。

何も意識しなければ成り行きで使ってしまうかもしれない。

何をどう使うかはフォトグラファーの選択であり、それが個性だろう。

その選択を成り行きで行なっているのか、それとも自ら考え抜いて選択しているのか、

それの違いが個性を輝かせる大きな違いになるのかもしれない。