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人は感情がすべて。

投稿日:2018/10/4

3464 48

yokohama aoba

photo:gomei

codi:Misaki Nakagawa

 

 

 

先日インスタグラムで懐かしい再会がありました。

高校の頃の友人から、私が投稿している写真を見て、連絡をくれました。

彼は専門学校を卒業してカメラマンへ、私は専門学校を卒業して映像業界へ。

畑は違えど、お互い成り上がってやろう!そんな話をへべれけになりながら話していた頃から、10年程度経ちました。

10年も経つと、恥ずかしさが入り混じりながらメールを何通か続けました。

最近の近況の話と、あとは自然とカメラの話。

本当は色々話したい事もありますが、懐かしさが増長させた感情を、理性が押し付けて、冷静を保ちながらメールを打っています。

あの頃は、良く絵文字を使って感情表現を豊かにしていましたが、今は、と。

彼はあの頃と変わらず、多くの絵文字を使ってきます。

 

あれからお互いどのような人生を送ってきたのでしょうか。

10年と言えばあっという間ですが、人を変えるには十分な時間です。

それとも変わっていないのでしょうか。

少なくとも私は、感情を出すことに恥ずかしさを覚えている普通の大人になってしまったような気がします。

営業時間が終わってまで、行きつけのビールバーで「普通じゃなく、とがったことしないとな!」

こんな会話をした事を鮮明に覚えています。

あのビールバーはまだあるのでしょうか。

 

写真は人をつなげる。

そんな機会を作ってくれた、写真でもありました。

 

 

 

 

■感情を伝える

私は感情表現が苦手だ。

いや、正確に言うと苦手になってしまった。

若いころは絵にかいたような陽気な少年で、おそらく久々に会った人は驚くだろう。

私は基本的に感情を人に伝える事に対して、メリットを感じない事の方が多い。

良い感情だけを伝えるようにしてみたら?そんなアドバイスは幾度となく貰ってきたが、人間はそんなに上手く作られていないと思う。

感情を伝える事に対して慣れてしまい、無意識のうちにネガティブな感情も同様に伝える事になるだろう。

ビジネスシーンでもデメリットを強く感じる。

感情で仕事をすると、うまく進むものも進まなくなってしまう。

そもそもビジネスに感情は必要だろうか。

そんな時間を多く過ごしてきたことで、すっかり感情表現が苦手になったのだと思う。

環境のせいには決してしていない、いかなる環境でも選択をしてきたのは私なのだから。

基本的に私はそうであるという事以外には何もない。

 

不思議なもので、感情表現が豊かな人が嫌いなのか?と問われると、決してそうではなく、どちらかと言えば好きなのだ。

自分が感情を表に出す方ではないが、意外に苦手なのは感情を内に秘めるタイプの人である。

心底自分自身に矛盾を感じるが、そうなのだから仕方がない。

何故好きななのかと言うと、私が出来ない事が出来るというシンプルな憧れだ。

羨ましくさえ思っている。そして素敵なことだと考えている。

 

人間は感情先行型の生き物だ。

感情が沸き、それを伝える行為として、言葉や行動を操る生き物だ。

だから全てのきっかけのベースは感情である事は明白な事実だ。

如何なる映画でも、ドラマでも、アニメでも、小説でも、何もかも感情を描くことを大切にしている。

何故なら人は感情の生き物だから。

とても理に適っていると思うからこそ、素敵なのだ。

 

 

私は写真を撮る際に、常々「感情を撮りたい」と考えている。

前途した内容を読んでいただけると理解して頂けると思うが、第一に素敵だと考えているから。

第二に、感情表現が豊かであることに憧れがあるからだ。

第三に、感情が第三者の感情を動かすと考えているから。

 

第一と第二は、私のエゴイズムであることに間違いはないが、第三は私の知らないどこかの誰かの心が動かされることを意味する。

その時に、私のエゴイズムが変化し、写真を通したコミュニケーションが第三者と成立するものだと信じている。

ここまでだいぶ長い道のりになったが、大きく見ると、私の写真のテーマは「感情を撮る」という事になる。

 

 

 

■感情を動かされた経験

 

正直、あまりない。

クラス全員が泣いていたこれまでの卒後式などの式典でも、一切泣いたことがない。

だから数少ない経験を鮮明に覚えている。

 

大きな話ばかりしてきて、これから小さな話をすることに恥ずかしさも覚えるが、ひょんなことで動かされた覚えがある。

確か、TSUTAYAでDVDを物色していた時だ。

私は映画をかりる時も、チェックを欠かさない人間だ。

まずは監督、次に主演と助演、最後にその映画の表彰歴をみてかりる事が殆どだ。

折角の2時間を無駄にしたくはないから。

 

しかし例外も。

2回だけいわゆるジャケット借りをしたことがある。

その一つが、「アバウト・タイム」という映画だ。

以前に千葉フォレスト店の及川が個人ブログに感想を書いていたので、リンクを貼っておきます。

 

及川さんのアバウト・タイムのブログはこちら

 

 

表紙の女性の屈託のない笑顔が、きっといい映画なんだろうと、期待を抱かせ、全く知らない映画をかりた。

ましてやそう見る事のない恋愛的な表紙の映画。

こう、生きてみたい。

そんな潜在的な願望が触発されたのだと思う。

あれからずっと、頭のどこかにはアバウト・タイムの表紙があったことは間違いない。

 

 

 

■三姉妹の印象

 

今回は3女の七五三撮影でご来店いただきました。

着付けとヘアメイクのお時間を1時間頂いているので、彼女たちの情報収集をするには十分な時間がある。

人の印象は出会って3秒で決まるという有名な言葉でありますが、要所要所で感情やインスピレーションを大切にしようとしている自分には少々笑ってしまう。

しかしよく読み解いてみると、外見がその印象を決定つける事が多いのではないだろうか。

まず、真っ先に目に入ってきたのが、3人とも褐色の健康的な肌色している事。

聞いてみると、沖縄帰りらしい。

少しづつ、一人づつに話しかけてみる。

長女は全ての事に、正確に答えてくれる。

例えば、沖縄はどうだった?と聞いてみると、行った島の名前から、海の綺麗さに感動した話まで事細かに。

次女は、ソファーに足を上げながら、絵本から目を離さずに、最低限必要な受け答えだけしてくれる。

きっと今回は自分が主役ではないから、興味薄なのだろう。

主役の三女は、何だかわからないが、全ての事に満面の笑みをしてくれていた。

ヘアメイクを施されている姿を鏡越しに見て、私の質問にも、何もかもに笑顔。

大きく開く口元が大変印象的に見えた。

その時長女がこのように母親に話していた。

「化粧してめっちゃ美人だね。もとから美人だけど。」

 

根拠はないが、なんとなく生活が三女を中心に回っているような気がした。

このカウンセリングの際に、3ショットの主役を三女に決定つける事にした。

三女の明るさが、長女と次女の感情を誘発させるだろうと。

 

 

纏めると、ここで得た情報とは、

・3女を中心に感情を表に出せるだろうという期待感

・褐色の肌が明るい印象を作る事

この2つだ。

 

後は自身が持つ撮影の方程式にあてはめて、現場適応する事が必要になる。

まず第一条件が3女の感情を出す事である。しかし撮影が可能な程度に。

しかし三女のみがにぎやかでは、何とも悲しくなってしまいそうな写真になる可能性が高い。

長女と次女の感情を誘発させるには、二人の主体的な行為が必要だと考える。

つまり、長女次女の行為を基に、三女の感情が爆発させる事が必要だ。

ある程度、体を動かす指示が必要だなと、ここではここまでの理論を組むことにした。

 

(体を動かす指示+長女と次女の行為)×受け手の三女の感情=感情が大に見える3人の写真(きっと笑顔爆発系の)

 

■撮影場所の設定

イメージは先ほどまでで作る事ができましたので、これからは現実問題の戦いだ。

イメージを具現化できるエリアや条件を探し設定しなければなりません。

これは現実的な問題をクリアしていく事になりますので、適当に選ぶと悲しい結果になることは間違いない。

 

いくつかの問題を羅列してみる

・動きは激しくなるのでシャッタースピードを上げたい、光量が必要

・褐色の肌が元気な印象を与えてくれるので、色のせを考え順光気味の光が必要

 

まず第一に光の問題のクリアを優先する事にした。

横浜青葉店のインテリア上、逆光になる事が多いのと、強い自然光が入ってくるのは時間が極端に限られている。

なおかつ天候にも左右される。

 

さてこの日はどうであるか。

七五三撮影中は小雨が降っていた。

絶望的。

そうしたらシャッタースピードか、絞りで明るさを確保するほかなくなってしまう。

うむむ、と考えていると、あら不思議。

雨が上がって、強い光がスタジオを照らしてくれる。

神様ありがとう!と、とりあえず思うことにした。

 

上記の問題を解決してくれるエリアは1つだけだった。

 

 

 

■レンズ選び

 

ここでも持論展開だ。

基本使用しているレンズは24-70と70-200の2本。

被写体の動きをメインにするため、ある程度容易に処理を行える70-200を使用する事にした。

何故なら、動きに合わせて画角設定を行って行く事が予想できたので、ズーム効果を強く使い、背景の処理を容易にしたかったこと。

さらには無駄な要素は排除して、撮る事を想定していたので、こちらのレンズが適切だろう

と。

画角は漠然と全身写真を決めていた。

躍動感を確りと捉えるには、全員写真が一番伝わるからだ。

ドレスの乱れ、手足の動き、表情。

この3つを確りと捉えるのは全身写真しかないだろう。

 

 

 

■仕掛けと画角

 

では感情を出すためにはどのような仕掛けを指示としてはげかけようか。

色々と迷うところである。

凝った指示をしても仕方がない、伝えたい事は伝わらなければ意味ないからだ。

恥ずかしながら、私はこんな時は古の技に頼る事にしている。

何故なら誰しもが知っているからだ。

 

まずは皆うつ伏せになってもらう。

三女の爆発的な表情がメインに映る様に、真ん中に挟むように並んでもらう。

これである程度下着が見れることもないだろう、左右に体をねじらせて逃げると予想する。

写真の目線誘導を踏まえて、床面を大きく入れる事にした。

ありがたい事に、床には若干の照りが伸びてきていたので、目線誘導には抜群の効果を生んでくれるだろう。

後は写真の安定感を作るためには、基本を大切に。

床と被写体の2分割構図を設定しカメラを構えます。

 

さあ、これで何が来てもいいだろう。

なんでも来い。

というくらいに待ちかまえます。

カメラの設定は、

F/5.6

1/640s

ISO/800

 

なるべく、彼女達のみが写る様にしよう。

それで感情を強く写真に残そう。

この撮影楽しかったね。

いつか思い話にしてもらえるような、写真を。

感情を表現を大切にしてほしいから。

 

 

ゆっくりタイミングを待って…

「いまだー、こちょこちょしちゃえ~!」

 

 

事前に姉たちにはお願いしていたので、わっと両脇からこちょこちょをしてくれます。

ぐっとカメラを構える私に、ファインダーから予想外の風景が目に入ってきます。

 

 

 

 

 

 

三女が起きあがった。

 

 

ぐわあ!

と思いつつ、設定したことは忘れずのシャッターを切ります。

どうか、下着よ、見えないで!!!

神様!お願い!

そんな感じで。

 

 

 

 

■結果

 

何とか下着は見えない写真になりました。

また三人が楽しそうな、笑顔の写真が。

きっといつか周りとの同調をしていかなければならないでしょう。

なんで私ばっかと思う事もあるでしょう。

そんな時は、この写真と、この文章を思い出してくれることを願います。

 

だから私は感情が伝わる写真が撮りたいのだと思います。

 

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