３) 主題討論　　　担当:吉村　
文学から学ぼう「こころ：夏目漱石著」～リベラルアーツ～
文学を学ぶとはどういうことか？ただ読むだけではなくその作品を左右から、前後から色んな角度から見ていく中でその作品における「本質」を見抜く機会となるのではないだろうか？今回の学習においてはそれぞれ担当を分けて三つの角度からこの文学作品について学習した。そしてこの学びの背後に「その時代を生きた作者とその時代背景を通して見えてくる違った形ではあるが同じものとして見ることのできる「こころ」という作品」を知ることができるのではないだろうか？そうしたうえでこの「こころ」に登場する人物たちを見ていくときに「過去・現在・未来」を見ることが出来、人々の姿を通して私たちは何を学んでいくのか考える機会となったのではないだろうか
 
１、登場人物のこころの動き
（先生：吉村）　先生の過去現在未来を中心として、過去のおじからの裏切りによる人を信じられなくなった思い（どんな善人も悪人になりうる）と、Kを裏切ったことにより自分自身も人を裏切る人になりうるとわかったとき、そしてそれでも未来（＝遺書）を「私」に託したとき、それぞれの先生のこころの動きに応じて討論していった
（Ｋ：高津）　Kの人柄、人生背景、各場面においてのKの感情について討論し考えた。Kはどのような思いで自殺したのだろうか？先生が考えるようにKも考えていただろうか？自分の道を歩んでいる中において自分自身が「恋愛」というものに染まっていくことに対しての苛立ちなども考えながらK自身が悩んだものを探っていった
（私と女性：北岑）　「私」はいつこの「こころ」という本を書き始めているだろうか？「私」に先生が託したもの、託されたものとはなんだったのだろうか？なぜ「私」に先生は遺書を託したのだろうか？皆で考える質問形式と共に「私」に託された先生の思いをくみ取っていった。またお嬢さん、そして奥様として登場する彼女の気持ちも探っていった（女は怖い等）
 
２、時代背景
（金リーダー）時代背景「明治の精神」など様々な要素を通して私たちが学びながら得てきたキーワードをもとに当てはめてまとめてくださった。「物欲至上主義」「過度な欲望の暴走」など様々なキーワードからこの文学の背景にある時代の方向、この時代の人々の本質なる部分を読みとっていった。
（竹内）明治時代の時代とはどのような時代だったのか？歴史的史実を中心として町並みや文化、人々が注目していたもの、そして事件などを学びながらこの文学が描かれた時代背景はどのような人々がどのように暮らし、どのような事件や歴史的事実が生まれていたのか知るきっかけとなった。
 
３、作者について（著者夏目漱石とは？）
（前半：鈴木）夏目漱石の生まれ、書生時代、文学者になる前どのような人生でどのような経験をし、どのような人柄だったのかまとめてくださった。見た目には穏やかそうなイメージも持ちやすいが意外と短気で奥様との夫婦中もあまり良くなかったようだ。外国に学びに行くこともしたが感情の乱れから帰国することもあったそうだ。
（後半：金子）知り合いからのすすめもあり文学を書き始める。そして有名な「坊ちゃん」「吾輩は猫である」などの作品を出すが、大学で教えているとき自分の生徒が自殺する。漱石は自分を責めたがその学生はどうやら恋愛の縺れによる自殺だったようでその内容がとても「こころ」の先生の境遇と似ていることに驚かされた。漱石自身の人生経験が「こころ」という作品に大きな影響を与えていることがわかった
 
（まとめ）
「文学という切り口を通して私たちのリベラルアーツを探るとき新しい角度から新しい発見が生まれる」
このような学習を各自担当を分けて学習していく中、登場人物のこころの動きと作者自身の人間性や経験との関係、またその作者が生きていた時代背景を知ることでその時代の人々を知ることができた。私たちは時代を超えてこの作品を学ぶことを通してその時代とその人々に出会うことが少しでもできたのではないだろうか？それは私たちのリベラルアーツを探る切り口の1つとなったのではないだろうか？文学という切り口をとおして、中のリベラルアーツを探っていくとき、違う角度から違う目線で同じものを見てみるとそれはどのように見えるだろうか？新しい発見が各個人においてもあったのなら幸いである。