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2015年10月 文学「罪と罰」

投稿日:2016/11/15

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10月主題討論報告書              吉村多絵
 
リベラルアーツ ~文学を通して学ぼう~
第二弾 「罪と罰~by ドストエフスキー」の作品を皆で学んで
 
 今回は、前回日本の「こころ」について学んだものから海外の作品へ移り、皆で調べたものを共有し討論をする形式をとった。以前の反省として、調べたが討論や自分たちの意見を広げる場があまりなかったように思われたので、今回は出来るだけ1人1人が意見を沢山話せる場となるように工夫した。まず2人ペアになり討論主題を出して細かく話し合ってもらう。その際「具体的例」をつけることなど、1人1人が「考える」ことが出来るように質問を多くし具体的には?例をあげて説明して?などの課題をつけた。実際は時間が短い、もっと話せる時間がほしかったという意見やいきなり聞かれて考えたこともなかったし言葉にするのが難しくて解答に詰まったという意見もあった。哲学などもそうだが、自分の中から意見を「出す」ことは「自分から出す」わけだから簡単なようで、普段あまりする機会がないからこそ、特に数式のように答えをだすものとは違いはっきりとした答えが明確にわからない問に対して回答するというのは難しいという事がわかった。だけど全員で考える時間と、二・三人の少ない数で多く個人が意見を離せる時間にするのとそれぞれメリットがあり、よいと感じた。

 「罪と罰」は全員がわかりやすいように今回漫画で学習した。実際の本はもっと長く読むのがとても大変なのでこの形で良かったと思う。
 まとめるにあたっては、ラスコーリニコフとソーニャそれぞれの目線にわかれて背景にあるロシアの歴史的現状などを踏まえて男性がラスコーリニコフ側、女性がソーニャ側に分かれて討論を行った。ラスコーリニコフは背景にナポレオン主義などの左思想が強いようなものをもっており、ソーニャはキリシタンでありキリスト教の教えの中で実際の苦しい生活を生き抜いているため二人は真逆の考え方だが惹かれていく内容であった。調べていく中でドフトエフスキー自身の生涯がこの「罪と罰」の歩みにも似ていると感じた。中々難しくロシアの背景などから学び、学習し、本の内容と照らし合わせてどう「討論」し、リベラルアーツをたどるきっかけにするにはどうしたらいいか悩んだが何かしら自分自身も学ぶものはあったように思える。
 
 
 調べてPPTで発表
男性陣(ロシア当時の時代背景・エフスキーの思想等...)
キム:歴史背景 以前学習したこころと同じ時代であること。奴隷解放と自由により個人の価値が瞑想していた時代であった。
すぅ:ドストエフスキー個人を調べる 彼自身の生涯は罪と罰の主人公と同じで悲惨な状況であった。また当時のロシアは自殺者が多いなど環境もかなり悲惨だったようだ。
とみ:罪と罰の主人公の思想 彼自身は「ナポレオン主義」をどのような思想で語っていたのかキリスト教に入る前の彼の思想をラスコーリニコフと照らし合わせて調べてくれた。
 
女性陣(ドフトエフスキーの時代のキリスト教の幸福感)
ゆう:ドフトエフスキー自身のキリスト教 全く神とは反対の思想から彼自身が死にかけた経験などからコロッとキリスト教的価値観に変わった内容などを調べてくれた。
ちい:娼婦ソーニャの感情とともに立場が低い人々 実際にキリスト教の価値観や観点を照らし合わせて分かりやすく説明してくれた。
たえ:ポルフィーリの観点からのキリスト教感、立場が高い 彼を作者はなぜ描いたのか?その背景にロシアのキリスト教観のどのような思想があったのか調べた。
いく:キリスト教の史実(東方正教会からの流れ) 実際のロシアのキリスト教がどこからきてどのような生活や宗教スタイルをしているのか分かりやすく調べてくれた。
 
 学習した内容を通して討論
Aチーム:書記吉村、Bチーム:書記金子、Cチーム:書記北岑、Dチーム:書記高津
(討論:金リーダー、鈴木、上田、竹内)
 
Q1 ラスコーリニコフは正しいか悪いか?
A間違っている(2組)という意見では、「皆が正義を掲げて戦う、ラスコーリニコフは自分の事しか考えていない。ひねくれた正義」「普遍的な価値に反する点が間違っている」などの意見が出ている。対して、Aそうともいえないかもしれない(2組)の意見には、「その時代の彼の置かれた状況と環境ではそうならざるを得なかったのかもしれない。」「歴史的に見ても似たような革命などはたくさん起きているし、個人だから悪く見えるが団体ならいいのか?」「社会を変えようと立ち上がったことは悪くない。デモの若者と似ている。」などの、この環境におかれたらそうなるかもしれないという共感を持とうとする意見もあった。
 
Q2彼を苦しめたものとはなにか?
皆の意見としては、「どこまでも人間的な考えに苦しんだ。」「核心がぶれている。」「良心の呵責(罪意識)で苦しんでいる。」「関係ない人も殺してしまったという苦しみ。」「罪の意識から自分を信じれば信じるほど苦しくなる。」など主人公自身の心についての意見が多かった。
 
Q3 ソーニャは幸福か不幸か?
これは皆が「幸福(4組)だ」と、答えている。「相対的に見たら不幸に見えるが彼女がどこまでも内面の幸福を求めていたから幸福なのではないだろうか?」「彼女の精神は救われているため、彼女自身に迷いがない」「精神的強さを見い出しているので幸福だったのではないだろうか?」「物質が満たされても自殺する現代社会であるように生きる意味を見い出すことはどの時代にも必要であるからこそソーニャは強いのではないだろうか?」「幸福は他人には図れない。」「社会的状況には不幸だが、精神的には幸福なのではないだろうか?」「自分が思えば幸福。」「精神的に幸福。」「生きることに前向き。」など、おかれた環境はどうあれ彼女自身がどうかという観点で皆意見がひとつに集まってきている。
 
Q4彼女がラスコーリニコフに与えたものとはなんだろうか?
ここでは主に受け入れる、やすらぎの場所などの意見が多く集まった。「彼女は彼の全てを受け入れてくれた。」「余裕を与えてくれた。」「マリア様のような安心できる場所になってくれた。」「精神的な安らぎ。」「愛を与えた、許し、犠牲的な愛、人間的な枠を超えて再生力を与えた。」また、中には「ラスコーリニコフは本当はソーニャのようになりたかったのではないか、本当は問題をソーニャのように考え受け留める自分になりたかったのではにだろうか。」という別の観点での意見も出てきた。
 
Q5[罪]と[罰]とはどういう意味だろうか?
最終的にまとめとしてそれぞれに罪と罰の定義をしてもらった。罪とは?では「生きていることが罪」「殺人等普遍的価値を犯すこと」「人の考えを受け入れないこと」「一線を越えること」「神からの怒り、神への反逆」「原罪」「他者を省みない正義、自分本位な行動」「正しさの定義が出来ないと罪の定義ができない」「人によって違うのではないか、逆に誰にも当てはまる普遍的なものに罪は当てはまるのではないか?」「普遍的価値を犯すイデオロギーは無い」などキリスト教の観点からの罪という認識もあれば、正しさ誠実さなどからみた罪など色んな罪がでてきた。
罰とは?「精神的苦痛」「罪悪感」「苦しみ」「再生への道」「罪と表裏一体のもの」「罪を制限するためにあるのか?」「罪に対する報酬が罰」などの意見が出てきた。表裏一体のもの、のように罰には必ず罪があるなどの意見や罪を犯したものの再生への道などの意見も出てきた。
 

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