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2016年5月 主題「哲学カフェ」

投稿日:2016/11/17

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2016年5月 哲学 「哲学カフェ」         担当:高津 智文
『哲学カフェ』(小川仁著)という本を題材に進めた討論内容のまとめ。テーマごとにそれぞれが自分の考えをまとめてきて、それをもとに討論を実施。今月は3章「暴力と権力を哲学する」4章「社会を哲学する」のまとめとなる。
 
3章「暴力と権力を哲学する」
テーマ5 暴力はなくならないか?
●暴力とは何か?
・人を傷つけること、もの
・潜在的実現可能性が下回る時(出来たはずのこと、あったはずの機能が損なわれる時) by ヨハン
・多数派の暴力(社会の仕組み、貧困、多数決)
・人間の意思が入ってくるもの(自然災害には暴力と言わないから)
・相手よりも優位な立場に立って相手を服従させて、相手に強要する行為
・個人の選択を狭めてしまうものが暴力だが、悪いことをした犯罪者を牢獄に入れるのは、暴力にはならない。
・殴ったり、蹴ったりという物理的なものと言葉などの無形なものも含めて、相手の意に反して力を加えること by アーレント
・良い暴力と悪い暴力が存在する by ムッソリーニ
・公序良俗に反する事(倫理的にOKなのか)
 
●なぜ人間は暴力を振るうのか?
・動物の本能、自分の大切なものを守るため。
・快楽、ストレス発散
・感情の抑制が出来ていない。
・自分の気持ちが相手に伝わらない時(幼い子に多い)
・想像力の欠如
・文化、風習
・暴力と判断されるのは程度によるのではないか。
・理性、想像力の欠如で暴力がエスカレートする。
・聖戦など、手段として暴力を正当化する。
●暴力を使わなくてもうまくいく方法は?
・非暴力、不服従 by ガンジー…時と場合によっては難しいのでは?
暴力は手っ取り早く支配できる手段になり得るので難しい。
 
●暴力をなくす方法は?
・暴力を行使しないという共通の感覚を持つ。
・罪はすべて暴力(だから罪として法律化されているのではないか?)
・抑止力として罰に問われ罰を受ける。
・他人を思いやる、相手を1人の個人として想像すること。
・コミュニケーション的理性(他者と意見を交換しながら、正しいものを見つけていく理性)が必要。
・教育、他者との意見を交換する場が必要。
・自分の言動を考える。
・架空と現実の区別をする。
・人の痛みを知る。
 
<まとめ>
 人はなぜ暴力を行使してしまうのか。そこには暴力を欲望を満たすための手段として安易に使ってしまうという人間の本質がみられた。そして暴力をなくす方法としては、人の痛みを知ること、想像すること、他者と意見を交換しながら正しいものを見出していくというコミュニケーション的理性が必要であるという意見でまとまった。
 
テーマ6 なぜ人間は戦争を繰り返すのか?
●戦争とは何か?
・戦争の定義…国家による暴力を伴う主張。
・聖戦論(ジハード・宗教)…自分たちが正しいと主張
・正戦論…(アメリカ・正当防衛)
・マイケル・ウォルツァー…正当防衛に類似する大義があるなら戦争が正当化されるとした。
→大義を誰が決めるのか?どの立場からのものかによってその大義も変わってくる。そうであるなら、どんな状況なら、戦争は許されるのだろうか。
→このことに対して出た意見としては、どんな状況でも戦争は許されないという意見で一致した。
(許される状況があると思う限りなくならない)また、武器を持たないという意見も出た。これについては国家という強大な権力の元、またその背景にある資本主義がもたらした「戦争ビジネス」という大きな問題につながるもので、一概に精神論のみで解決できる問題でもないことに気づかされる。
・人は本能的に戦う(理性がある限り許されないということが分かる)
・暴力が手っ取り早いから手段になり、戦争になる
・昔は、部族、宗教、資源がらみの戦争だったが、西洋の近代化により、国境、政治がらみ、エネルギー資源などの目に見えない利害関係による戦争になってきている。
・人間の欲望による戦い。支配欲・所有欲など(根源)
戦争に勝ったからといって正しいわけではない。
 
●戦争は無くせるのか?
・話し合いで解決などというが、そんな単純なものでもない。難しいと思う。
・難しいからこそ、話し合いで解決できると信念をもつことが大事なのではないか。
・自他一体。他人を自分と同じと考えることが大切。(赦し、理性)
・赦しという行為ができるのが人間。このキリスト教的な赦しも一つの解決方法になり得るのでは。
 ここで、本当に赦せるのか?という話になった。本当に自分の家族など大切なものが奪われたときに、赦せるのか。これに対して憎しみは憎しみしか生み出さないのであるから、そんな憎しみの感情に支配されている自分から抜け出すために赦すというか報復などの行為を選択しないということはあるかもしれない。ただ、相手(罪人)のために、相手を赦せるかというと…至難の業だ。
・戦争とは国を巻き込んだ争い。その権力ゆえ、国民の理性が狂い、また強制が加わり自分の意志だけでなくすことができないのが戦争。
それでも、戦争は人の心が生みだすものであるから、人間に与えられた理性によって考え続けていくことが大切なのではないか。
 
<まとめ>
今回の討論を通し、戦争の本質については以下のように定義づけられた。また、以前大宮店で社会問題について定義した内容もそのまま戦争の本質をついているのではないかということになった。そしてその対策についてもいくつかまとめられたので記述しておく。
 
★戦争の本質とは…「欲望(大義・国益)の暴走・自他分離の結果 
(社会問題…《以前の大宮店での定義》他を排除する自己中心的な欲望の暴走
★戦争を解消するには…知る・考える・話す・問う・尊重する・同じ人間であるという認識を持つこと。
 
テーマ7 権力は悪か?
●権力とは何か?
・警察・国家・政治・司法。マスメディア・パワハラ・セクハラ。
・良いイメージがあまりない。どちらかというと悪いイメージ。
・個人の力では及ばない。縛られている。
・生まれたときから頼っている。守られている。(警察・自衛隊・海上保安官)
・富の象徴(支配力が強い)・利害関係(個人の都合)
・独裁者(ヒトラー)のイメージ。
※自分にとって利益かどうか、自分がどの立場にいるかによって、権力とは相対的に変わってくる。
(権力と権威の違い→権威は心理的要素が強い)
・マックス・ウェーバー…権力とは、「ある社会関係において、自らの意志を、たとえ抵抗に反してでも貫徹することのできるすべての可能性である」とした。
そして、支配を「伝統的支配」・「カリスマ的支配」・「合法的支配」の3つをあげた。
・ミシェル・フーコー…自分たちの都合のいいように規律を作る。規律の内面化。
人間関係(対人関係)全てにおいて権力があるとした。(家族、学校など)
 
●権力とは悪なのか?
・権力を持つことで人は悪くなるのか、それとも悪い人が権力を握るから悪となるのか?
→権力には人を狂わせる性質があると思う。またさらに欲望を持つようになる。調子に乗る。
●権力を乱用しないために…
・三権分立(行政・司法・立法)が定められている。これは権力を悪用しないためのものなのでは?
→権力を持った人が悪いばかりではなく、周りの人も大切。
 
●権力は必要か?
・ホッブズ…必要。無いと闘争に次ぐ闘争が始まる(それが自然)。←性悪説
・ルソー…元来の自然な形が理想だが、一般意思が必要。←性善説
・ジョン・ロック…ルソーに近い性善説
※性善説VS性悪説によって、考え方が大きく変わる。
→どちらかではなく、どちらにもなり得る。そのため権力は必要である。
・権力は悪いイメージもあり腐敗する危険性もあるが、私たちが安心して暮らせるのも権力があるからこそでもある。
(舛添さんの事件を受けて)国民が関心を持つことが大切なのではないか。
●ライフスタジオの権力とは?
社長。⇔(スタッフとの)バランスが大切。
(スタッフの自由意志を尊重しようとする社長。⇔スタッフから何も出てこない現状。)
 
●大宮店の計画書は権力?
スタッフ自らが賛同しているから、権力とは感じない。支配されていると感じていないので権力ではないのでは?強制力の問題なのかもしれない。選択権はスタッフ個人に委ねられているから権力ではない。
 
<まとめ>
 権力は必要不可欠なものである。悪にも善にもなり得るからこそ、権力者自身の人格が問われるし、規律というものが必要になってくる。権力が悪になり得るのは、人間の欲望が根本的にあるから。欲望を理性でもって支配することが大事である。
 
4章「社会を哲学する」
テーマ8 国はどこまで国民の面倒をみるべきか?
●国と国民の関係
無政府主義:政府はいらない 自由至上主義(リバタリアン):司法、治安維持、国防のみ
古典的自由主義:リバタリアンに最小限の福祉サービス 福祉国家社会主義:古典的自由主義以上
 
●それぞれの利点、問題点とは?
・高福祉高負担の国 例)オランダ
税金は高いが、教育、福祉、医療が充実しているので満足しているオランダ人。格差は狭まり、安定しているが故に、向上心が低くなる問題点もある。
・リバタリアンは個人負担が大きい。弱者に不利。
・日本は中福祉中負担?将来が不安だからがむしゃらに働く。向上心が高くなる良い点もある。
 また日本の場合は税金がどこに使われているかわからないという不安感がある。国から地方などと細かく分けると、国民の声を吸い上げやすい。満足した福祉が受けられる?地方納税など。
 
●政治家を避難できるか?
・政治家を選んでいるのは私たちである。
・選挙制度が問題なのか?→選挙をしないで不満を口にするのはいかがなものか。
・関心を持たない国民の責任もある。選挙制度を選んだのも、選挙で人を選んだのも国民である。
・知ろうとする力が必要。大阪都構想の敗北は若者の選挙離れが原因
 
●政府と国民の関係 私たちにできることとは?
・国民が動いて団体を作り、行動する!自分の生活に直結している問題には関心を抱きやすい。
・国と国民が何を目指しているか考えて決めなければならない、双方の為に、福祉哲学の必要性。
・新しい公共という考え方。 NPO、ボランティアのように公的な領域を自発的に担う市民のこと。
 お互いに関心を持ち合うことで、共同体で助け合っていける。共同体の美徳が必要になってくる。
 シェア よいものを共有する。WinWinの関係→共同体の活性化に繋がる。SNSなど。
 自分に利益があるなし関係なく、自分の出来ることをする。ボランティア、NPO、嘱託勤務
<まとめ>
 国は国民の面倒をどこまでみるべきか?リバタリアン、高福祉高負担、また日本の現状など、討論の中で話していくうちに、「最低限度の保障は国がすべき(国防、治安、司法)である」というところで意見が一致した。国と国民の関係が大事であり、国民の一人として政治に関心を持っていくこと、また、自分たちにできることを身近なところから考えていくことが大切であるというまとめになった。
 
テーマ9 正しいことは誰が決めるの?
●正しさとは?
・正しいことは時代と共に変わる。
国、自分、法律、国民、裁判所、憲法、倫理、共同体、感情によって異なる。
映画「レ・ミゼラブル」「ベニスの商人」…法が正義であるという例。
法が自身の首を絞めてしまうことがある。法が正義かといえばそうともいえない。
・共同体の正義は本当に正しいのか?
ISISの中では正義でも、他国での自爆テロははたして本当に正義なのか?
法律、宗教が正しいとは言えない。
・「正義」 哲学的意味は社会における平等という意味。
・正しいかどうかは分からなくても、最善策を選ぶことが大事なのではないか。
共同体が違えばまた別の判断をするかもしれない。
 ドラマ「私を離さないで」クローン人間は正しいのか?倫理感が問題になってくる。マイケルサンデ 
 ルの「これらからの正義の話をしよう」の中でも、中絶問題など何が正義かどうか判断が難しい事例   
 もいくつか出てきた。突き詰めて考えていくと何が正義なのかという問題はとても難しい。
・多数派が正義であるとは限らない。
・妄信、盲信(自分で判断することなく、分けも分からずむやみに信じること)することは正義とは違う。
 人それぞれ信じているものがあり、正しさもある。お互いに、否定せず、尊重し合うことが大切なの 
では。何が正しいか考え、最善策を選択すること。
 ・正義は最終的に自分が決める!
 
<まとめ>
 正しさとは何か。正義とはそれぞれの立場によって、そして時代によっても変わってくるものなので、結局はわからないという結論になってしまうのだが、討論の中で出てきた、「最善かどうか」という言葉がみんなの中で一番しっくりときた結論に至った。正しいかどうかわからなくても、自分の中の選択が最善かどうかを常に問い続けること。それが大事ではないか。また、正しいことはだれが決めるのか?という問いに対しては「正義は最終的に自分が決める」という意見で一致した。
 
 

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