PhotogenicOmiya

Posing

2018/10/9

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Posingとは、人に何かしらの姿勢をとらせることを言う。

普段小さい子供たちを相手にしていると、指示を出すというよりも子供たちの動きに合わせて写真を撮ることが多い。それはつまり彼らの自然な動作をカメラマン任意のタイミングや感性でフレーム内に収めるということになる。それはそれで技術が必要になるが、比較的大きい子供たちや大人を相手に撮影をする時、Posingは避けて通れない。

 

まず、小さい子供たちは四肢が短く全体的に丸みを帯びている。顔も幼く存在自体が可愛らしいと言える。もし仮に小さい子供が大人顔負けのポーズをとっていたとしても、それは美しく見えるより可愛らしさとして受け止められるだろう。つまり子供は子供らしく、遊んでいる中で見られる仕草や表情がより自然であり、この場合ポーズはあまり問題にならない。

 

問題になってくるのは大きな子供や大人だ。この場合、身体的特徴を取り上げてみても小さい頃とはまるで違う。四肢は長く等身数は大きく、それをそのまま撮ればそのままの写真になってしまう。また子供と同じように撮ろうとすれば、様々なところで障害を感じることになる。あと小さい頃とは違い、自分以外の他の存在を敏感に感じるようになり、個人によってはコンプレックスを抱えていることもある。またそれらが恥や緊張を生み出し、体を硬くしてしまうこともある。硬直した体のままでは柔軟な動きを出すことは難しい。それは多くの場合不自然さを生み出し、写真の印象も硬くなりがちだ。では、Posingとはどういうものでなければならないのだろうか。

 

写真でいうPosingは綺麗に見える姿勢をとらせることだが、ここではもう一歩踏み込んで考える必要があるだろう。写真を構成する要素には様々なものがあるが、そのどれもがお互いに関係を持ち、ある一定のリズムや規則によって繋がれたとき、写真はより美しいものとなる。構成要素のひとつであるPosingもそれ単体で成立するわけではなく、他の要素たちとの調和を目指さなければならないだろう。それはつまりスタジオ撮影で言えば、インテリア・被写体・衣装との調和を意味する。いくら綺麗でかわいいポージングをとらせてもそれが他の要素とかみ合っていなければ、違和感を感じる写真になってしまう。もしかしたらクールでかっこいい方があっている場合もある訳だ。だからPosingは何でもいいというわけではない。

 

またPosingを生かすためには撮影者側の意図も大切になってくる。与えられた構成要素を組み合わせ、それに肉付けする。それは光であったり質感であったりフレーミングであったりで、撮影者が担っている部分は写真の世界観を大きく左右する。成功すれば被写体の魅力を引き立たせ、普段の姿からは想像できない一面を発見し、お互いに喜びを感じることができる。またその反面、失敗すれば見るべきものが分からない散漫とした写真になったり、中途半端な印象を与えてしまったりもする。

 

今回の写真はコーディネーターが用意してくれていた衣装に合わせてインテリアを選び、全体的にクールな印象を目指した。ライティングは被写体を背景から切り取るように斜め後ろにメイン光を設定し、半逆光状態を作り出した。また低いF値を選択することによってその効果をより高めている。次に背景は、コントラストの高い衣装と被らぬよう、明るい窓が来るよう被写体の位置を調節している。これらのことによって被写体に注目を得やすい写真になった。また比較的角度の狭いところから光が当たることによって強いハイライトと影が発生し、レザージャケットの質感を高めている。あとは被写体をサンドイッチするような光の当たり方によって全体的にシャープで引き締まった印象を得ることにも成功した。

 

そしていよいよPosingだが、Posingは足からという言葉があるように、まずは重心を定めるところから開始した。この時は左にある椅子に少し寄り掛かってもらった上で右足を一歩前に出してもらうよう指示を出した。右足を一歩前に出したのは両足棒立ちの状態を回避すること、軸足を作ることで重心を安定させることにある。これによって被写体に若干の曲線を作り出すことができる。人の体は関節があったり、そもそも若干曲がっているのが自然な状態とされているので、自然でリラックスした写真を撮るのであれば直線的で緊張感のある姿勢は避けるべきだと思う。

 

次に、予めコーディネーターが付けてくれていたイヤリングを左手で触るよう指示を出し、上半身にも動きを付けた。ただ触るだけだと面白くないので、ここではイヤリングの形がどんな形なのか手で触って当ててみるよう声掛けをし、被写体の集中を自身の手先に向けるよう誘導した。そして答えを言ってもらう流れでカメラを見てもらった。普通にイヤリングを触ってカメラを見てもらうことも出来たが、そうなれば写真はよりクールな印象になっていたかもしれない。無表情が持つ魅力もまたあるものだが、あくまで被写体の女の子の普段の表情を写真に残したかったので結果これで良かったと思う。

 

最後にこちらの意図で画面を少し傾け、被写体の体が切れる上下ギリギリの所でフレーミングを行った。画面を傾けることにより画面内にある被写体を含めた線に動きが出てPosingもより強調されたものになった。そしてその各要素たちをぎゅっとひとつの画面の中に閉じ込めるようなフレームミングを選択した。もし上か下かに余白を作っていれば人はそこに意味を感じてしまうだろう。もちろんそれが被写体と相まって、良い写真を作り出すこともあるが、今回の場合は被写体自身の魅力を最大限生かしたかったのが選択の大きな理由だ。

 

いつもとは違った場所で、いつもと違う衣装を着て、まるでもう一人の自分がいるかのような体験をする。

写真はある意味マジックでもあるが、そうやって自分の魅力に気づいてもらえたら嬉しいなと思っている。写真の技術の前に立つものは人だ。目の前に立っている人がどういう人なのか、またどういう魅力を持っているのか、そしてそれを表現するにはどうしたらいいのか。誰一人として同じ人はいない。だからこそ終わりがないとも言える。日々頭を悩ませながら考えているのもそのためだ。でも、撮影者も被写体も知ることのなかったその一瞬を捉えたとき、苦悩は喜びに変わる。それがポートレート写真の醍醐味なのだろうか。まだ道のりは遥か遠く、目的地も良く分からないが、まずは目の前の1人ひとりの持つ魅力に気づいていけるよう日々技術を磨いていきたいと思う。

 

Finder10 9月課題 「ポージング」

photo by Ueda

coordinate by Yu

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