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歌舞伎町のこころちゃん
投稿日:2013/12/12
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「歌舞伎町のこころちゃん」 写真 権徹
新宿歌舞伎町で父親と一緒に路上生活を送っていた4才の少女、「こころちゃん」を追った写真集。
フォトジャーナリストである著者は、マイノリティ問題、米軍基地問題、北朝鮮脱北者問題など、実社会に斬り込む作品を提供している。また、歌舞伎町のストリートスナップ撮影をライフワークとしており、暴力団抗争や若者たちのライフスタイルなど、街で起こるあらゆる事象を捉え、発表している。この写真集は、そんな歌舞伎町で出会った一人の少女の姿がおさめられている。名前はこころちゃん。年齢は4才。歌舞伎町で父親と一緒に路上生活を送っていた様子が写真と共におさめられている。そしてなぜこころちゃんが路上生活を送らなければならなかったのか、その現実も写真と共に著者の言葉で綴られている。
こころちゃんの笑顔は無邪気でかわいい。大きく笑うその口の中には虫歯でいっぱいの黒ずんだ歯と汚れた肌。夜、ゲームセンターで1人遊んでいる。段ボールの上でお絵かき。真冬に夏のサンダルに裸足。そんな写真一枚一枚が、こころちゃんの置かれていた環境、現実を浮き彫りにする。一瞬にしてその現実というものを見る側に訴えかけてくる。写真の持つインパクトはすごい。
父親の膝の上にちょこんと座っているこころちゃん。
父親と遊んでいるこころちゃん。
何度かこの写真集を見返した。
見れば見るほど、
そしてこの現実を考えれば考えるほど、
そんな数枚の親子の写真が私にはどうしても辛くて仕方がなかった。
この写真集を出すべきだったのかどうかとか
今後の彼女に及ぼす影響とか
いろいろなことが考えられるのだろうけど
そういったこと全てを抜きにして、この写真集が持つ意味というのは私にとっては大きかった。
こころちゃんがなぜ路上生活を送らなければいけなかったのか。
この写真集には今の日本の社会問題というものが集約されているような気がする。
その後、こころちゃんは母親の手により父親と離れて児童養護施設に預けられて生活をしている。4才の子どもが路上生活を送り続けるわけにはいかない。たとえ親と離れなければならないとしても、施設という環境の方が子どもを育む上では最善の選択だったのかもしれない。ただ私の中でどうしても頭から離れないのが父親と一緒に写っているこころちゃんの笑顔だ。答えの出ない「どうしようもない」という現実の重さに胸が苦しくなる。
児童養護施設に預けられている子どもの約半数がネグレクトなどの親による虐待が原因であるという。また、今回のこころちゃんのように、経済的な問題も少なくない。
著者はこの少女の撮影をするべきかどうか、そしてそれを世の中に公開するかどうか悩んだという。あとがきでこのように述べている。
―「可哀そうな境遇」を伝える「お涙ちょうだい」が目的じゃない。この理不尽さを、どうしようもなく改善策の見えない現実を世の中にぶつけてみることが、少女を撮影してきた理由なのだと強く感じた。―
時にはプロのカメラマンとしての領域を超えて、この親子の生活に密接に関わっていく。そして他人ができることの限界、どうしようもない現実に著者自身悩み、葛藤したという。
この写真集が出たのが2008年。
こころちゃんは、今どうしているのだろう。
あの屈託のない笑顔は・・・。
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