店舗フォトジェニック集


Photogenic
scrollable

Shadow, Shade, and Light,

投稿日:2023/1/20

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photo & write by Reiri Kuroki

coordi by Minami Haruyama

 

@AOYAMA

 

 

写真の良し悪しを決定づける大きな要素のひとつは『光』だと思っている。

写真は『光で描く絵』と言われるくらい、光がなければ撮ることができない。そして、『光』があれば必ず『影』があって、そのバランスのコントロールは写真の印象を大きく左右する。

光の存在感を美しく際立たせる柔らかな影もあれば、影の存在感を強く際立たせる鋭い光もある、ということ。

 

飽くまでも、商業写真館の中で写真を撮らせてもらっている以上、しかも主な被写体がご家族や子どもである以上、どちらかと言えば明るい写真を撮ることが多い。

正確に言えば、多分、求められているものと表現したいものが合致するところが明るい写真になることが多い、ということなのだと思う。自然光をベースに撮影することを想定されているスタジオの構造も、それを後押しする要素のひとつ。天気の良い日には自然光を遮ろうとすることの方が困難で、時間や季節によって変わりゆく光の条件にこちらが合わせていくより他にない。それもまた、光を見ながら構成していくという技術を要する部分でもある。

 

しかし、この写真を撮ろうとした時、ある意味で私は自由だったのだと思う。

冬の最終枠の撮影で、おしゃべりを楽しんでいるうちにとっぷりと日は暮れていて、こちらが合わせるしかないような強い光はもう無かった。

私をご指名してくださったご家族からは、こんな感じで撮りたいという幾つかのイメージの共有はありつつも、基本的にはお任せしてくださる空気感があって、私は楽しんで撮影させてもらっていた。

そして何より、被写体である彼には、私を撮影者としてわくわくさせてくれる魅力があった。数年前にお会いした時は、まだほんの少しの幼さが残る少年で、とは言えとても礼儀正しく紳士的な彼に、私たちは「好青年だ」とはしゃいでいたものだった。そんな彼が、数年で幼さをすっかり脱ぎ捨てて、精悍な顔立ちで、まさに『青年』としてカメラの前に現れた。身長も抜かれてしまった。

そんな彼を表現する写真を、私は『影』で印象付ける設定にした。

自然光がなくなったスタジオの中は、自分で光を作り出すことができる。しかし、備え付けの照明やライトボックスは光の面積が大きくて、青山店の狭い空間の中では影を淡くしてしまう。

使用したのは、光の面積が細く強い光を放つことができる蛍光灯型の照明だった。コーディネーターに持ってもらって、距離と角度を調整する。構成としては至ってシンプルで、白い背景に彼の影が落ちる、それだけ。ただ、その『影』の印象をより濃くする為に、『陰』の部分を意識する。

そのものの形が投影されるシルエットとしての『影』とは少し違う、光との距離や当たり方によって強弱や濃淡を見せる『陰影』の部分。そのかたちに沿って描き出されるグラデーションは、被写体の立体感、存在感を際立たせる。

幼さがもうすっかりなくなってきた彼には、こういう感じが良いと思った。礼儀正しく紳士的なところは変わらないけれど、このほんの数年の間に、彼自身のその雰囲気はなんだかより深くなった。大人になった、というのはこういう雰囲気の変化のことなのかも知れない。

そういう変化と成長を遂げている彼を、わかりやすく言えばかっこ良く、大人らしい深さを纏わせて表現してみたいと思った時、影と陰が与える印象はぴったりだった。いつもの撮り方とは少し変えた、彼自身を表現する為の影と、陰と、わずかな光。

 

 

お任せしてくださった彼のご家族と、彼自身に感謝しています。

撮影が終わった後に見せてくれた年相応の笑顔もまたとても魅力的だったけれど、こんな側面の見せ方もありなんじゃないでしょうか。

 

 

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