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大宮店
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何を撮り、何を残すのか

投稿日:2022/12/12     更新日:2022/12/12

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私たちは日々撮影を行う中でいろんな瞬間を目の当たりにしてはそれをカメラで記録している。

カメラの性能は日進月歩で進化し、昔は撮れなかったような場面でもそれを写真に残せるようになった。

「写真はカメラの前でじっとして撮る」という一昔前の写真の常識は今では完全に変わってしまった。

 

そして私たちのスタジオには自然な姿や日常の延長にあるような子どもたちの姿を残しに来られる方が多い。

ではあるがままを残しているのかと言われれば必ずしもそうではない。それだけだとただのスナップ写真になってしまう。

私たちが撮るべき写真はただ「自然な写真」なのではなく、より具体的に言えば「自然に見える(見せる)写真」なのだと思う。

私たちはスタジオという非日常的な環境の中で、自然を作り出す力、またそれを写真で残す力を日々試されている。

 

そもそも自然な姿とはいったい何だろう。ご要望としてよく耳にはするが、私たちはその子たちの素を知っているわけではない。

また家で見せている姿をスタジオで見ることはほとんどの場合難しく、どちらかといえば緊張している姿をよく目にする。

多くの場合、これだ!という正解は分からないまま断片的な情報をかき集めることから撮影はスタートする。

そしてその繰り返しの中で掴んだぼんやりとした輪郭を元に、これまた様々な試行錯誤を繰り返しながら写真を撮っていく。

 

ただ子どもたちのことでハッキリしているのは、「遊んでいるときが一番輝いている」ということだろう。

個人差はあれど、遊びの中で発見できる子どもたちの姿は、そのほとんどが自然な姿のひとつに当てはまると思っている。

だから撮影に遊びの要素を取り入れることは当然なこととも言えるし、私たちの撮影の大きなテーマにもなっている。

また遊びと一言でいっても様々で、それは子どもたちの遊び方を見ていればよくわかる。実に様々で性格の違いも出やすい。

ひとつのアイテムの使い方でも違いは出る。また細かく見ればそれを扱うときの表情や仕草にも違いが出るものだ。

 

そうやって体を動かし心を動かし楽しんでいるときの子どもたちはとても魅力的で、見ているこちらも楽しくなってくるし、

その姿をうまく四角い枠の中におさめたいとも思う。自然で素敵な瞬間をより魅力的に残すための条件をいつも探している。

 

綺麗な写真がスクロールひとつで素早く消費されていく時代だが、

作り手としてはだからこそそれが出来上がるまでの過程を楽しめたらと思う。

約1時間半の撮影時間と85カットという条件の中で何を撮り、そして残すのか。毎件色んな出会いがあるなと感じる。

 


 

今回のテーマは「被写体を動かす」。

上でも話した通り、カメラ機能の向上に伴い、撮影者は様々な被写体の姿を残すことができるようになった。

しかしその反面、何を撮って何を残せばよいのかという課題を生むことにもなる。よく言えば表現の幅は広がったのだが…。

撮影に関する前提条件はいくつかあるが、どう写真を撮ってどうそれを構成するのかは撮影者側にゆだねられている。

言い換えるとそれは、どう動かすのか、どう動いてもらうのか、またそれをどう撮って、どう残すのかということになる。

撮影を続けていく限りずっと取り組んでいくことになるテーマだと認識している。

 

動かすというよりは自由に動いてもらった結果の写真。2.3歳くらいの子は見ていて面白い存在。

突然繰り出される愛嬌たっぷりの姿は紛れもないシャッターチャンス。

どう残すのか、突如訪れた魅力的な姿をうまくフレーム内におさめることができた。

被写体が動けば、撮影者も動く。動くことで景色が変わる。

 

偶然に頼りすぎるとシャッターチャンスにそう多くは出会えない。

自由に動いてもらいつつもその中に仕掛けと予測を織り交ぜる。

想像力を働かせてその瞬間を待つことも時には大切なこと。

もちろん想像通りいかないこともあるが、それもまた一興。

 

コーディネーターが被写体を動かす流れをじっと見守りながら撮った1枚。

二人の動作や表情の変化に集中した。あえて見守ることで考える余裕が生まれ、

光やフレーミングにも意識を向けることができた。二人一組で入る理由のひとつ。

 

ほっぺを触ってもらった流れの中の1枚。右手がほっぺを離れた瞬間を残した。

動作の途中でシャッターを押したことで静止画ではあるが動きを感じる1枚となった。

また同時にカメラマンから声をかけることでカメラにしっかり目線が来ている。

 

こちらもコーディネーターの提案から始まった1枚。

その意図を汲み取ってさらにカメラマンからも声をかける。

被写体の心も体も動かしたことでイキイキとした写真になった。

 

カメラマンからポージングの指示を出して撮った1枚。

ある程度のイメージを持って指示を出すことでより具体的に体を動かせた。

極力インテリアを排除して彼女のポーズが目立つよう圧縮を選択。

 

どう撮るのか、それは撮影者側に任されたこと。

想像力を働かせることで撮りたいイメージが湧いてくる。

普段通り、でもそれがいつかきっと大切な思い出になる。

 

画面の中の世界観を整えることで見えてくるものがあると思う。

画面の中の調和は見る人をすんなりとその世界観に導いてくれる。

彼女ら姉妹の仲良さげな触れ合いが遠目で見てほほえましかった。

 

ほどよく自由に遊んでもらいながら、たまにそこに入れてもらう距離感。

がっつり引いて見守ることもあれば、がっつり近づいて一緒に楽しむこともある。

そしてその中間も。まだ掴めないところもあるが、いろんな距離感を試してみたいし感じてみたい。

 

こんな風景に巡り合えるのもこの仕事の醍醐味。

私はこういった温かな風景を残すために被写体を動かせたらと思う。

シンプルに素敵な瞬間だった。

 

 

 

世間では映えなんて言葉で写真が消費の対象になっているけど、

写真には映えももちろんそうだが、もっと人間味溢れるものがあると思う。

私はどちらかというと映えという言葉に拒否反応が出てしまうタイプの人間だ…。

美しい写真はもちろん好きだが、そればかりでは正直疲れてしまう。

 

自分にとって、また相手にとって何が大切なのか、

そういうことを考えながら写真を残していきたいと思う。

そしてそのために写真についてもっと学んでいこうと思う。

 

 

 

 

 

 

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