Photogenic


横浜青葉店
scrollable

35mm ~Reiri Kuroki

投稿日:2017/7/16

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Photo by Reiri Kuroki
Coordi&Hair Make by Kaori Sasaki
Write by Reiri Kuroki

@Yokohama Aoba



レンズの特性を活かして、「ひと」を表現する。

35mmという焦点距離で残される写真は、実際に目で見る視界とのほんの僅かなギャップを残す。
そのギャップこそ、表現手法として活用できるものである、と思う。

彼女は、10歳。
会話をすれば、年相応の「子どもらしさ」が顔を覗かせる面もあるのだが、かおちゃんの手でヘアメイクとコーディネートをされた彼女の姿をファインダー越しに眺めれば、とても「子ども」には見えない魅力を放っていた。
彼女は3年程前に、姉のハーフ成人式撮影で青葉店を利用してくれていた。
その時の写真を見ながら、この妹がどんな成長をして現れるのだろうと思ってはいたが、実際会ってみると、3年という時間がひとりの女の子にもたらす変化に驚くばかりだ。
あどけない、歯が抜けた笑顔を見せていた7歳の女の子が、まるでもう一人前の女性のようなスタイルで、涼しげに立っている。
10歳の魅力。
「子ども」と言う程純粋無邪気ではなく、しかし「大人」と言うにはまだ足りない。でも、その両方の要素があちらこちらに見え隠れする。
そして、彼女自身はその過渡期を肩肘張らずに等身大に受け入れ、変化を楽しんでいるように、見えた。

この写真は、ものすごくシンプルだ。
真正面から、彼女を捉える。椅子を使って、写真の中心部に来る腰の重心を落ち着け、そこを基点に肩、脚、膝と角度をつけることで、直線の背景に対して有機的な、人間的な曲線のひねりを加えていく。
左肩を落とせば左腰は上がる。関節の動きと重心に無理がないように、動きを加える。
少し高めのスツールは、座る、ではなく「浅く腰をかけるくらい」にしてもらった。
(こういう中途半端なニュアンスは、伝わるかどうかで伝え方も変えていくのだが、彼女は難なく適応した)
一見、手脚が長く、大人と変わらないスタイルの持ち主である。
けれど、彼女の表情は飽くまでも子どもらしい屈託のない笑顔で、そのギャップこそこの時期の何よりの魅力だ。
ポージングはさりげなく、大人のように。
表情は真っ直ぐに、子どもらしく。
そんな相反する魅力をより効果的に写し出せるように、このシンプルな写真にフレーミングとレンズの効果をほんの少し足すことにした。
焦点距離は、35mm。
実際に目で見た視界と近い焦点距離は50mmで、そこを基準にすると35mmはやや広角寄りの表現になる。
24mmの極端な広角ではなく、一見標準に近い世界だが、フレーミングの外側に向かうにつれて、レンズの曲面に影響される歪みが若干表れる。
この写真では、その影響を受けるのはポージングで伸ばされた彼女の脚であり、そのスタイルをより効果的に表現するのに一役買った。
「歪み」は、一般的に「引き延ばされる」感じとして表れる。彼女のスタイルに対して、その脚がレンズの影響を受けるのはより効果的と言えるだろう。
背景のライトの枠は、切れないように最大限の注意を払った。
彼女の屈託のない眩しい笑顔を、「写真の中の四角」の中心に置くことで、シンプルに集中させる狙いがある。
背景の凹凸、僅かな陰影が、白でありながら表情を作っているのだが、だからこそ中途半端なフレーミングや極端なレンズ効果はそのバランスを崩してしまう。
シンプルに、真正面から捉えながら、僅かに広角の効果を足して、被写体の表情とスタイルのギャップを際立たせる。
ほんの少しの隠し味のようなつもりで。

彼女は、本当に、魅力溢れる女の子だった。
75カットを彩る様々な表情も、衣装も、ポージングも、光も、
全ての中で、彼女は輝いていた。
私は彼女のその輝きを、自分の持っている機械の効果を確認しながら、残していく。
 

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