Photogenic


横浜青葉店
scrollable

にしびあそび ~Reiri Kuroki

投稿日:2017/7/16

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Photo by Reiri Kuroki
Coordi by Kotarow Yatsu
Wreite by Reiri Kuroki

@Yokohama Aoba



じぶんひとりでできることなんて、なんにもない。

ネガティブな言葉に聞こえるが、ここ最近の私にとって、この言葉はとても希望的な意味合いだったりする。
自分の周りの他者の存在を、再確認させてくれるからだ。

この写真には、カメラを持った私と、被写体である彼。
そして、コーディネーターである谷津亘任稜の干渉と、数日前の小林香織との時間が作用している。
それぞれは独立した存在や要素だし、一見関わりのないことのようにも思える。
しかし、写真の中でそれらの要素は融合し、1枚の写真を構成した。
「わたし」という人間の、フィルターを通して。


要素1:
ある日、15時半の撮影がキャンセルになって、いつもより早い時間にスタジオの掃除をしに2Fへ上がった。
その時の西陽があまりに綺麗で、掃除を後回しにしてカメラを取りに走って、たまたま一緒に掃除をしようとしていた小林香織を撮って遊んだ。
青葉店の広い空間で、いつもついつい望遠レンズを振り回しがちな自分が、この時は『望遠レンズ持ってくるのが面倒』という理由で(!!)、標準レンズで撮っていた。

要素2:
数日後、同じ時間帯にハーフ成人式撮影に訪れた10歳の男の子。
体格が良く、サッカーをしていて、ユニフォームも持って来てくれた。
年相応に、やや恥ずかしそうな反応は見せたがとても礼儀正しく、好青年ならぬ好少年であった。

要素3:
その日、たまたま指名で来ていた草加店の谷津亘任稜。
1日ペアで撮影に入っていたが、「玲理さん、ハーフ成人式は撮りなよ。俺コーディするよ」と頑なに譲らず。
被写体の彼とはサッカーの話題で盛り上がり、谷津さんの独特のペースで撮影は進んだ。
こだわりのへアセットも、肩肘張らないゆるりとした会話のテンポも、撮影中に突然彼のご両親からiPhoneを借りて彼に持たせてみたりするのも、谷津クオリティ。

要素4:
谷津さんと1日ペアで、なーんも考えず3件コーディネーターするつもりだった私。


撮影の終盤、日没が近付く青葉店の2Fで、谷津さんは彼に眼鏡を合わせた。
差し込む西陽と彼の眼鏡が、数日前の小林香織と遊んだ時間を思い出させて、「あ、やってみよう」とシンプルに思った。
大きなシマトネリコの木は、枝葉を複雑に絡ませながら西陽に透けて綺麗に佇んでいる。その隙間から彼を覗き込み、彼にもこちらを覗き込んでもらう。
青葉店は直線的なインテリアが多く、いつもその線の処理に苦労する。今回は、標準レンズながら絞りを解放して被写界深度を浅くし、背景のボケ味を意識した。窓枠の格子は光源で飛び、手前には自然物の曲線が交錯することで、空間のカタさは中和されたように思う。
レンズを標準にしたことで、狭く切り取ってしまいがちなところを余裕を持ったフレーミングになった。しかし、青葉店は天井が低く、下から煽ると天井の蛍光灯が写ってしまう。いつも、それを気にして自分自身に制限をかけていたような気がする。
今回は、彼の存在感、成長したという体格を表現する為に、敢えて天井まで写る「見上げている/見下ろしている感」を意識して撮影した。
当然蛍光灯が写るのだが、写っていても気にならないような処理をする、ということを心掛けた。前ボケが被さることと浅い被写界深度のおかげで、蛍光灯としての主張は殆ど無く、天井という面においてのひとつの表情として馴染んだと思う。

何気ない遊びの撮影が、西陽と眼鏡をきっかけに繋がって、実践に活きてくる。
私は、意図を持ってこの写真を構成した。しかし、私自身の意図とは、他ならない他者の存在との関わりがあって培われたものだ。
カメラを持って、ファインダーを覗いても、そこに誰かの存在が感じられない写真は、自分にとってもうあまり意味がない。
被写体となる誰かがいて、一緒にその空間を共に作り上げてくれる誰かがいて、初めて自分の写真が価値を持つ。

じぶんひとりでできることなんて、なんにもない。
いつも、誰かと一緒に作っていくことができることを、とても幸せだと思っている。
 

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