Photogenic


横浜青葉店
scrollable

一枚の毛布 ~Kaori Sasaki

投稿日:2017/7/16

1356 0

 
Photo by Misato Ohashi
Coordi&Write by Kaori Sasaki

@Yokohama Aoba


日が傾き始めた15:30過ぎ。
どんなふうに撮影しようかと二人で構想を練っていると、
見覚えのある車が駐車場に入ってきた。
助手席はこっちを見てニヤニヤとしながら大きな口でおにぎりをほおばる少年。
小学校帰りにそのまま来てくれた彼は、車を降りてきて開口一番からふざける様子に、
いつも通りの少女のような笑顔のお母さんも少し苦笑いに変わった。
私たちは再会した瞬間からの彼のテンションに、これまでの撮影をしっかりと記憶に残してくれている事を感じ、じんわりうれしかった。
この撮影は大橋&佐々木ペアで入る最後の指名撮影だ。
 
大橋さんは、今は無き横浜店に私が入った半年後に入社をしてきた。
余談だが初めて出来た後輩に若き頃の私はうれしくてうれしくて、恥ずかしながら先輩風を吹かせていた当時の私の話は、今でもお酒の席で笑い話になるほど私たちの中では鉄板のネタである。
後輩とは言っても半年間で、年齢は年上、社会経験が長い彼女は持ち前のおしゃべり技術と観察力で接客は勿論、私のことも家族のように接してくれて、あっという間にお姉ちゃんの様な存在になった。
一緒に働いてきたこの四年半での笑いは、8割方彼女が笑わせてくれたんじゃないかと思うくらいたくさん笑った。
そんな彼女の撮影は、笑いの勢いの中で兎に角全員を巻き込んで撮影をする。
それを助長させるようなアシスタントを私がするもんだから、撮影中の声がスタジオ中に響き渡る率No.1だったと思う。
それが原因かはわからないが、彼女と私の指名を下さるお客様の子供の年齢は、おふざけが大好きな4~7歳の男の子の撮影が多い傾向があった。
そんな彼女が今年の一月から新横浜に移動になり、一緒に入る青葉店での撮影は少し久しぶりだった。

 
甥っ子やお客様の子供を見ていて思うのだが、やっぱり男の子はママが世界一大好きだ。
無条件でママを常に愛している。
外ではふざけておバカな真似をたくさんしても、ママと二人の空間ではきっと甘えん坊だ。
この写真の被写体である子も、何度も入った撮影の中で甘えん坊だと確信している。
しかし、少しずつ少年に近づいてきている部分も垣間見える。
人生の中でママに全力で甘えられる時間なんて、せいぜい10年前後だろうか。
そんな短い時間の証明を写真で残せたら。とカメラマンの大橋と二人に一枚の毛布を掛けるのはどうかと話した。
私たちとふざけながらする撮影から少し空気を変える為に、ママと二人だけの空間を作るための一枚の毛布だ。
 
暖かい西日が差し込む空間。
左上には少しフレアが入り写真全体がふんわりとなる印象だ。
光の角度によってその場の空気中の塵にまで光が反射して、何百秒分の一の一瞬と時が止まったように映し出す。
二人の髪にはきれいにハイライトが当たり、ふんわりとした写真の中でもきちんと被写体に逆光が当たっている。
そしてカメラを少しだけ振ることによって、子供の勢いとじゃれている感じが強調されている一枚だ。
毛布にくるまれた二人。
嬉しそうにママくっつく子供、すこし照れながらはにかむママ。
それが何十年後、子育て青春期を思い出してママの心をぽっと温められたら嬉しい。
 
 
スタジオ中に響き渡るあの大きな笑い声が聞けなくなんて、寂しさしかない。
でも私たちがスタジオで過ごした第二の青春みたいな時間は、第三の青春に向けての序章だって思う。
これから力を付ける番だから。
私の中の思い出も毛布に包んで心にしまっておきます。
もらったたくさんのものを周りに返していけるように、たまにみんなで振り返ろう。
私の良い部分をたくさん見つけてくれて、ありがとう。
 

この記事をシェアする

美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

撮影のご予約はこちらから

スタジオ予約

お役立ち情報をお送りします

新規会員登録

Official SNS

  • Instagram
  • sns
  • Instagram
  • Instagram