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わたしにできること ~Misaki Nakagawa

投稿日:2017/7/16

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Photo by Reiri Kuroki
Coordi&Write by Misaki Nakagawa

@Yokohama Aoba


私がこの子にしてあげられることは何だろう。
 
ライフスタジオに遊びに来てくれるこどもたちにいつだって思う事がある。
私がこの子たちに伝えられること、してあげられることはなんだろう。
はじめてくるスタジオで緊張している子。
人見知りや場所見知りから泣いてしまう子。
もう何度も遊びに来ていて家にいる時のようにリラックスしている子。
楽しみすぎて謎のハイテンションに陥っている子。笑
いつもまずはこの子はどんな子なんだろう、と観察するところから始めていく。
 
写真に写った彼女は少し恥ずかし気に、でもしっかりとお話をしてくれる女の子だった。
すこし久しぶりのライフスタジオ。
自分で着物とドレス、カジュアルなお洋服を選んで嬉しそうな笑顔を見せてくれていた彼女。
だけど、ヘアセット、着付け、支度が進むにつれてその口数はどんどんと減っていった。
「緊張しているのかな?」
慣れない着物、スタジオに緊張してしまうこどもは少なくない。

(私自身、7歳の七五三の時には支度が終わった途端、緊張のあまり大泣きをした記憶がある。
なれない着物を着せられること、自分じゃないようなメイク、髪型。知らない大人たちに囲まれながら支度をされる事。
当時の私にはそのすべてが緊張と恐怖の対象だった。
なので私の7歳の七五三はほとんど写真が残っていない。
唯一残っている写真も泣いた後の仏頂面である。笑)

でも彼女はきっと写真を撮られるのが好きな女の子だ。
だからその時は、撮影が始まってしまえばすぐなれるだろうと考えている私がいた。
 
でも予想とは反して、支度が終わり、
いざ撮影!となっても彼女の口数が増えることはなかった。
ただ一言小さく「きもちわるい」と呟いた。
一度休憩をはさんで、少しお着付けを緩めてもらって、
「頑張れそうかな?無理はしなくていいからね」と声をかけると
「頑張れる」と答えてくれたので撮影を続行した。
彼女は口をぎゅっと一文字に結んで耐えるように、
それでも一生懸命私たちの言葉にこたえようとしてくれた。
 
そんな彼女に対して私ができることは何だろうと必死で考えた。
ただただ彼女に声をかけ続ける事。
その手を握ってあげる事。
なんて無力なんだろう…と痛感した。
 
でも彼女は着物の撮影を最後までしっかりとやり遂げてくれた。
撮影が終わってすぐに着物を脱がしてもらって、少し休憩をはさむ。
2着目はお兄ちゃんと一緒のカジュアル撮影。
優しいお兄ちゃんと一緒ということもあってだいぶ緊張もほぐれ、
少しずつもとの笑顔も戻ってきた。
 
そして3着目。
彼女が一番楽しみにしていたドレスでのソロ撮影。
気づけば夕方になりこの部屋に綺麗な西日の差し込む時間になっていた。
れいりさんが「そこでくるくる~って回ってみて」と声をかける。
ふわっと広がるドレスに西日が透けて、柔らかい光が拡散される。
何度か同じ動きをお願いする。
キラキラと光るドレスに彼女がとてもうれしそうな表情を見せた。
「あぁ、やっとこの表情を見ることができた」
何だか泣きそうになった一瞬だった。
 
撮影が終わって彼女からいくつかのプレゼントをもらった。
ぎゅっと抱きしめてくれた時にまた泣きそうになった。
私はこの子になにかしてあげられたのかな?
すこしでも彼女の心をほぐす働きができていただろうか。
 
 
お見送り後、改めて写真を見る。
ドレスをなびかせながらくるっと回る、女の子のあこがれのシチュエーション。
決められたポーズではなく、身体を動かすことによる緊張の開放。
なびくドレスをみつめる視線に彼女らしさが表現される。
ドレスに透けた柔らかい光と、前ボケに入れたグリーンが柔らかく彼女を包み込んで、幻想的な一枚となっていた。
私にはこの柔らかな光が、彼女の緊張をほぐした象徴の光のように見えた。
 
もう一度考える。
こどもたちとの撮影で私が彼らにしてあげられることはなんだろう。
緊張をほぐしてあげたい。楽しんでもらいたい。
写真を撮ることが苦痛じゃなくて楽しい思い出になるように。
その気持ちだけはいつでももって撮影に臨んでいる。
 
その子一人、一人にあった方法で。
言葉を投げることもあれば、身振りだけで伝える時もある。
「あなたの力になりたい」
撮影の中で私にできること、私にしかできないことがあるのかもしれない。
これからも探し続けることを忘れずに撮影にはいりたいと思う。
 
 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
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