Photogenic
横浜青葉店
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目 ~Natsuko Takagawa
投稿日:2017/8/19
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Photo by Kaori Kobayashi
Cordi by Kaori Kinoshita
Write by Natsuko Takagawa
@Yokohama Aoba
Cordi by Kaori Kinoshita
Write by Natsuko Takagawa
@Yokohama Aoba
「目」というのは、写真の中でとても大きな構成要素となる。
なぜなら視線ひとつで写真の表情を大きく左右するからである。
まっすぐ前を見つめているのか伏し目がちなのか、微笑んでいるのか涙をためているのか。
被写体の表情を決定するのと同時に、写真のイメージも決定する。それが「目」だ。
今回写真に写る彼はそんな目を隠している。けれどこの写真を見て、表情がわからないという人はいないだろう。表情を決定するのは目だと書いたが、目だけで表情が作られているわけでもない。
この写真の表情のポイントは口元だ。しっかりと口角が上がりきった状態でシャッターが切られていることによって、この少年は思い切り笑っているという判断ができる。
イメージの面で見るとどうだろうか。
私はこの写真を見てとてもわくわくした。それは目を隠していることによってイメージが明確になりすぎず、受け手側に想像させるからだ。
目をギュッとつむったようなとびきりの笑顔なのか、お姉さんの方をいたずらっぽくみつめているのか。
また、麦わら帽子をかぶった彼の横にはトランクケース、そして奥には車もあることから、彼が旅の途中なのではないかとも思わせる。
余白が大きいことも、想像を膨らませる要素のひとつだろう。
そしてこの写真のイメージを構成する大きな要素は、この目を隠すという仕草その物だ。
きっとこの時のポーズ指示は「眩しいから目を隠して〜」くらいであり、手の甲を目に付けて、、、と細かくは指示を出したわけではないだろう。
するとこのポーズは一気にこの子から出た、「この子らしい」ものとなる。
五明さんはよく「体が動くと心が動く」と言うが、その通りだと思う。写真の彼も「目を隠す」というポーズを誘導されることで、自然と体が動き、「楽しい」と心も動き、この笑顔に繋がったのだろう。
そんな楽しそうな彼が最も照らされる順光という光の向きで撮り、またモノクロ設定にしていることでより背景との明暗差が生まれ、彼自身が強調される。
また、順光で撮っていることで窓枠の講師の影が彼の白シャツに写りこみ、この画面を引き締め安定感が生まれている。
写真の表情を決定するのは「目」だ。でも、目を隠しているこの写真には表情もイメージもある。それは思わず笑顔がこぼれるような彼にとっての楽しさと、動ける自由があったからなのか、体と心を動いた瞬間をとらえたからなのかな、と思う。
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