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その子を見ること ~Satoshi Ito
投稿日:2017/9/29
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Photo by Reiri Kuroki
Cordi&Write by Satoshi Ito(Chappy)
@Yokohama Aoba
コーディネーターは撮影に入ると、今どんな写真が撮られているのか、
カメラマンがどんな写真を撮ろうとしているのかを常に考える。
少し前までの自分は子供の気を引くこと、子供を笑わせることに必死でそこまで考えが及んでいなかった。
ただ大きい年齢の子と接する機会が増えれば増えるほど、考えに余裕ができ、今何を見なければいけないのか、
どうしたら写真の表現の幅を広げることに自分が働きかけることができるのかを少し考えるようになれた。
この写真の彼女はとても真面目で少し照れ屋な10歳の少女だった。
ドレス、オーバーオール、白シャツの3パターンの衣装を選び、それに合わせたヘアメイクをかおちゃんが行ってくれる。
長い髪にフォーカスが当たりやすい中、あえてシンプルな白シャツ時にグレーがかったブラウン(シャンピニョン色というらしい)の婉曲したラウンドハットをかぶった状態で撮影してもらった。
それにより彼女のきれいな目、すっと通った鼻筋、整っている薄い眉など顔へとフォーカスが向かいやすくなる。撮影にコーディネーターとして入り、彼女の笑顔を引き出す中で、一際特徴的だと感じたのは目力とはまた別の魅力を持つ眼だった。
家族撮影、姉妹撮影時にも、彼女の眼はしっかりカメラを見据え、笑顔の時でもついついその不思議な魅力の眼に捉われそうになっていた。
玲理さんが女の子のしっとりした表情を映し出すために、ライトボックスに近づいて背をつける形で立ち位置を決めた。そこにさらなる女の子らしさ(女性らしさ)を要素として足すために、リップの下に指をつけるポーズを指示する。
撮影時にはどのように入り込んでいるか見えないクリア色の前ボケも、写真で見たときに後頭部(おもに帽子の後側)を隠し、顔の印象を強く映し出すための要素の1つとなっている。
さらに光の当て方、カメラの設定によって顔の左右で光陰のグラデーションをつけることで、左目のまつげを薄く光らせる。
そこをすかさずに彼女の目線を上に誘導し、アイレベルをほんの少し下から取ることで、より光るまつげや彼女の顔の輪郭のきれいさを如実に表現する。
それらすべての構成要素が、彼女のあどけなくも凛とした表情を引き立てるためのモノなのだと私は考えます。
彼女の可愛さを間近で見ていただけあり、完成後の写真を見てこんな魅力もまだ隠し持っていたなんて…とモニター時に驚きを隠せず思わず「うわっ、きれい」と言ったのは今も覚えています。
観察を行っていく中で、写真の中にはこれほどもの多くの要素が含まれていると改めて実感したのと同時に、カメラマンは瞬時にそれを整理し、1つの主題を基に空間を切り取っていかねばならないのだと、内心少し焦りが出ました。
被写体を観察し、光を観察し、撮影者の意図に寄り添い、時には自ら提案する
これらのことがコーディネーターとして自分が入る際に、意識しなければならない現状の課題であることを忘れないように日々を送りたいと思います。
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