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横浜青葉店
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写真分析 [コーディネートの力]
投稿日:2017/12/10
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@Yokohama aoba
Photo by Gomei Kazuma
Cordy & Write by Kanasugi Mayu
Photo by Gomei Kazuma
Cordy & Write by Kanasugi Mayu
コーディネーターという目線から見る撮影について
撮影のときに私たちコーディネーターが選ぶ衣装というのは、様々なことを考えて選ばれています。
サイズ感はもちろんですが、その子の雰囲気を見て似合いそうな服、またはその子が好きそうな洋服を選んだり、他のパターンの洋服とのバランスを見たり、コーディネートによって写真の雰囲気がある程度決まってくるからこそ、文字通り頭の先から足の先まで色合いや素材感など考えます。
この写真の撮影のときは、パパさんが「こういう洋服を着せてあげたいんです」と、HPにあがっている青葉店のコーディネートを見せてくれました。
こういう場合はそのままその洋服を持って来れれば一番いいのですが、そこには「サイズ」という壁があります。ほぼ1点ずつサイズもデザインも揃えているため、望んだ洋服のサイズがその子に合うかというのはまた別問題なのです。
今回パパさんが選んでくれた参考コーディネートは、写真の男の子にはどれも少し小さいサイズでした。
こんな時ほど、コーディネーターの腕の見せ所です。
パパさんが選んでいたコーディネートは、ツイードの茶色のサスペンダーがついたパンツに紺のジャケットという少しマニッシュな感じのコーディネートでした。
そのイメージを崩さずにコーディネートを作るために、まず最初にその子には少し大きめのサスペンダーがついた黄緑のパンツを選びました。
サイズ的には大きくても、サスペンダーがついているのでずり落ちることはないのと、大きめのサイズはぴったりしたサイズよりも子供らしい可愛さが生まれます。彼の雰囲気的にはここでサスペンダーではない、例えば黒のマニッシュなパンツを選ぶよりもこのダボっとした感じが似合うはず、と思いこちらにしました。
そのパンツを中心に、グレーチェックのベストとジャケットを合わせ、中はシンプルに白シャツに。このコーディネートによって
- ジャケット+ベスト+シャツ+パンツ
- ベスト+シャツ+パンツ
- シャツ+サスペンダー(ベストを脱ぐことによって見える)
そして大事なのが足元です。
靴ももちろんマニッシュな靴でまとめたかったのですが、この子に足のサイズに合う皮系の靴がなく…唯一サイズが合うのは黒のローファーか黒のスニーカーでした。
ここまで洋服を優しい色でまとめてきたのに、ここで黒をいれてしまったら一気に印象が変わってしまう…
そう思った私は彼にとっては少し大きいサイズでしたが、ベージュのスウェードの紐靴を選びました。
足元に優しい色・なおかつ色味の弱い色を持ってくることで今まで作ってきたコーディネートを壊すことなく統一された印象を作ることができます。
さらに半端丈のパンツからチラッと見える足首には、ジャケットと同じグレーの色の靴下を合わせて差し色にしました。
少し濃い色を下にも持ってくることで、黄緑×ベージュという足元にメリハリが生まれます。
ここまでコーディネートを作り上げて、いざ撮影空間へ。
最後の仕上げは帽子です。
こんなマニッシュ系のコーディネートにはハットやベレー帽を合わせることが多いですが、今回のこの少年のあどけないかわいい笑顔を見ていると、この子のマニッシュコーデは海外の少年のようなかわいらしい感じに仕上げたい!と思い、足元の色味に合わせるかつパンツの黄緑が生きるように、ベージュのベレー帽を選びました。
ここからはカメラマンの五明さんがこの子の雰囲気やコーディネート・光の状況に合わせて撮影場所を選んでくださいました。
選んだ場所は青葉の中でも光がよく入ってくるキッチンスペース。
この子のコーディネートを見た五明さんは彼に「カメラマン」という職業のイメージを持たせるためにカメラを持たせ、高い椅子に座らせました。
ここで本や果物などでなくカメラを渡すことによって、彼のコーディネートにはまるで小さな新聞記者のような可愛らしさが生まれ、また茶色の椅子は明るく淡いインテリアとコーディネートの中に1つのポイントを作り出します。
そして手前に緑の前ボケ。
黄緑をポイントにしたコーディネートに、手前にさらに鮮やかな緑が入ってくることによって、写真に統一感と奥行きが生まれます。
この写真は空間を広く取った中に被写体が左に配置され、光が入ってきている方が広く空けられています。
小物が置かれた青色の棚をいれることで右側にもポイントができ、左右で色味の統一感が生まれていると同時に、濃淡の差があることで主役の被写体が引き立っています。
ここから彼がカメラを構えて写真を撮る真似をするような、そんなストーリーが広がりそうな写真だと思います。
コーディネートは何通りもあります。そしてさらにはそのコーディネートに合わせる小物・また撮影する場所・ポージングなどで印象はいくらでも変えることができます。
それがコーディネートの難しいところであり、また楽しいところであると思います。
青葉店のインテリアは私が以前いた新横浜店に比べるとひとつひとつのインテリアのテーマがはっきりとしているわけではなく、異動当初はどう合わせればいいのかに少なからず戸惑いがありました。しかし逆に言えば「カメラマンやコーディネーターが作り出すイメージでいくらでも変えられる」ことが青葉店のインテリアの魅力だと思います。
ただその子に合ったコーディネートを作るだけではなく、撮りたい写真の場所や雰囲気まで想像してカメラマンに相談したり、その時撮影時の声かけや小物選びまで自分の力で出来たら…その写真は「コーディネーターが作り出し、カメラマンが形にした」写真になるのではないかと思います。
よりよい写真を生むために今自分ができること。
それはコーディネート・声かけ、全てを含めてカメラマン自体を動かしてしまうような「撮影の空間」を作り上げられるようになることではないのかと思います。
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