※『”家族写真”じゃねーだろ』というツッコミは一旦横に置いておきます。


複数人を組み合わせて写真を撮る時は、全体のバランスを考慮して、三角形を作るように意識します。

三角形は、上部から底辺に向けて広がる重心の安定する形です。
身長体格がそれぞれに異なるひとたちをバラバラと配置すると、画的にまとまりを欠き、見る者の視点が散漫になります。
（まあ、バラバラな配置も、それを意図として面白い効果を生む時もありますが）
なので、基礎としてはまず大枠の「三角形」を作れれば、ある程度の安定感ある写真になりやすくなります。

なので、ひとまずひとかたまりにまとめてみましょう。
人が多いと何から手を付けたら良いものやら迷いますが、まずその三角形作りを意識しながら組むと良いです。

空間はシンプルな白。
個人的に大好きなこの人たちの、その魅力が引き立つような構成を考えてみましょう。
この中にひとり、突出してでっかい人がいます。なので、バランスブレイカーな大きな人をまず座らせちゃいます。
このでっかいひとは男性なので、正面切ってどっかり座らせてしまうことで、高さは抑えながらも男性的な身体の大きさを主張させることができます。
（バックボーンとして、この時この被写体は疲れていたので、立たせるポーズはしんどいだろうなと踏み、座ってもらいました。被写体の状態の把握は大切です）

同じ椅子に、小柄な女性を座らせます。
椅子の高さは同じですが、女性が小柄なので顔の位置に高低差が生まれます。
複数人が合わさる集合写真でずらしたいのは『顔の位置』。縦、横の同じ位置に顔が並ぶと、単調な印象になってしまうので、若干の差をつけながら組んでいきます。
先程は男性に正面切って座ってもらいましたが、女性の場合は横から斜めに座ってもらうのが鉄則です。女性らしい曲線や、顔の向きに角度が生まれることで、美しさが際立ちます。
逆側、男性よりやや高い位置に、長身の女性に座ってもらいます。こちらも正面よりはやや角度を付けて。
脚を組むことで、その長い脚の強調にもなりますし、三角形の辺を担う線が作られました。

さて後列。後列の女性ふたりは、後ろということもあり、ライフスタジオの撮影条件下ではピントが合いにくくなる可能性もあるので、なるべく顔を前に出してもらって面を揃えます。
この時、このふたりの頭の位置が、三角形の頂点になります。よって、ふたりには顔を寄せてもらうことが重要です。
家族写真の場合は、比較的仲良しな兄弟姉妹を配置するべきかも知れません。思春期の娘さんとパパさんだったり、対抗意識溢れる年の近いきょうだい等の場合、顔を寄せ合うことに抵抗を示す場合もあります。
複数人のポージングには、各々の関係性の把握をしながら組んでいくことも、撮影者に必要なコツかも知れません。

最後にいちばん左下。セルフタイマーをセットした後10秒以内に収まらなければならないので、どうしても前列になってしまいます。
この時、顔の位置がいちばん下段に来るように、床に直接座って高さを抑えながら、あぐらをかくことで左下へ伸びる三角形の１辺を担いつつ、重心を安定させる底辺の広さを作ります。

これで三角形は完成ですが、実はもうひとつ、『アイレベル』も重要なポイントです。
せっかく三角形を作っても、カメラの高さ＝アイレベルが高いと、重心が不安定に見えます。
この場合、中段に来る人の真ん中くらいのアイレベルが適正でしょうか。この写真で言えば、中段の人が座る椅子の高さ、くらい。
これより高いと、中段の人が座る膝から腿への面が少し主張するので、重心の安定感が乱れます。個人的には、やや低めから撮影する方が安定しやすいと思っています。
この場合はセルフタイマーなので、セットする椅子の高さに合わせ、カメラのレンズの下に本を挟んで少しだけ下から煽る角度をつけました。

さあ、あとは表情です。
この撮影の前のテストショットでは、真ん中の大きなひとが自主的にひとネタ披露してくださり、場の空気が和やかになりました。
何しろセルフタイマーなので、最終的にはカメラを見て、シャッターのタイミングに合わせて発揮される各々の主体性と、可愛く写ろうとする欲求に委ねる他ありません。

撮ってみての反省点としては、
「なすちゃんとかおちゃんの位置逆にしとけば良かったかも」といったところでしょうか。


さあ皆さんも、
大人数撮影にレッツトライ。
年賀状シーズン、セルフタイマーでの撮影も乙なもんです。

※青葉店の年賀状はこの写真ではありません。