Photogenic


横浜青葉店
scrollable

写真分析 / イメージ 〜a girl,

投稿日:2018/2/17

1212 0

Photo by Kazuma Gomei
Coordi by Mayu Kanasugi
Write by Reiri Kuroki

@Yokohama Aoba



たったひとつの撮影者の意図の為に、他の構成要素を大胆に削ぎ落とす。
この写真に惹かれる理由は、その手法がまさに功を奏しているから、なのだろう。

以前にも、似たような五明さんの写真を分析したことがあったが、また違う。
https://www.lifestudio.jp/?run_id=staf_blog&bs=staff_blog&po_u_seq=105&page_no=8&po_seq=147541
言ってみれば、女の子、モノクローム、大胆なフレーミング、イメージの抽出といった点で、共通項はある。しかし、前回の力強さに対し、今回は極めて繊細に描き出されたイメージカットになっている。
同じカメラマンから生み出される、同じ手法を使った異なる写真だ。


この写真における撮影者の意図は、ただひとつ。
女の子の、より女性的な部分を印象的に抽出したかった。
恐らく、それだけに集中された写真。
この写真で、もっとも存在感を放つのは彼女の『睫毛』である。
『睫毛』は、女性を象徴する身体的部位と言える。例えばひとのイラストを描く時に、男女を描き分けるとしたら、恐らく女の子には睫毛が描き足されることが多いのではないだろうか?
睫毛があるだけで、そのイラストは『女の子』として認識される。そのくらい、『睫毛』というパーツは『女性的』な印象を併せ持って訴求する、象徴的なアイコンとなり得る。
この写真においても、分割構図の交点に最も効果的に配置されたその『女性的な部分』である睫毛は、写真の中で主題としての存在感をしっかりと放った。

睫毛にフォーカスした写真自体は、珍しいものではない。
しかし、この写真において特徴的なのはそのフレーミング。
横写真でのクローズアップは、画的に見た時には、目と目の間や頰にあたる面が間延びをしがちだ。そこを大胆に、顔の半分をトリミングすることで、見るものの集中をよりその睫毛に誘導させる。
以前分析した写真でも、五明さんは被写体の顔をトリミングし、対となる瞳を敢えてひとつだけフレームの中に収めることで、よりその瞳の力強さと、存在感を強固にした。今回も、手法としては同じ。
しかし、今回は『光』と『コントラスト』の点で、前回とは大きくその印象を変えた。
力強く硬い光と、ぱきっとしたコントラストで『瞳』の質感とそこに宿る生命力を抽出した前回の写真に対し、今回は淡く柔らかい光でじんわりとした濃淡を生み、その女性的で繊細なイメージを演出した。
上から俯瞰で撮ることにより、額から睫毛、頬という立体感を生み、ごく浅い被写界深度で柔らかく溶かす。髪は副主体としての役割を果たし、段階的に毛流れの質感を変えて、その奥行と立体感を表現するのに効果を発揮した。
そして、モノクロームという選択。
極めて大胆で挑戦的なこのフレーミングも、色彩を無くすことで生々しさが抜け、イメージカットとして感性を刺激する幅を拡げている。
色、という情報が無いからこそ、柔らかい濃淡のモノクロームは主体が曖昧になりがちだ。しかし、この写真においては、大胆なトリミングでフォーカスされた『睫毛』という象徴的なアイコンに全てを託し、他の構成要素を大胆に削ぎ落とした。色も、対となる瞳も、強い光も。
だからこそ、淡く柔らかい繊細な世界観の中で、主体となる女の子により『女性』としての象徴的なイメージを付与して、その魅力を昇華させた1カットになった。


私たちは、毎日異なる「ひと」を撮っている。
ひとりひとり違う、そのひとの個性や、魅力や、美しさを写真に残そうと、日々シャッターを切っている。
技術は、その表現を可能にする為にあるものだ。しかし、技術だけに囚われると、その技術を使った同じような写真ばかり撮ってしまうということもあるだろう。私たちは、ほぼ毎日、同じ環境下で撮影をしているのだから。
比較対象となる分析があったからこそ、よりそう感じるのだけれども、女の子、モノクローム、大胆なフレーミング、イメージの抽出、といった共通項を通りながら、全く印象の異なる写真を生み出す撮影者は、技術だけに囚われず、その「ひと」を表現する為に技術を駆使している。
それは、ライフスタジオでの撮影に対しての正しい向き合い方であることは間違いない。
技術だけに囚われず、目の前の被写体ひとりひとりの異なる魅力に、そのひとの美しさに集中して、それを最大限に引き出す構成の為に、必要な技術を適正に使っていく。

彼はいつだって真面目で、真摯な撮影者だ。
 

この記事をシェアする

美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

撮影のご予約はこちらから

スタジオ予約

お役立ち情報をお送りします

新規会員登録

Official SNS

  • Instagram
  • sns
  • Instagram
  • Instagram