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写真分析 / 目は口ほどに…………
投稿日:2018/4/26
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Photo&Write by Reiri Kuroki
Coordi by Mayu Kanasugi
@Yokohama Aoba
Coordi by Mayu Kanasugi
@Yokohama Aoba
「目は口ほどにものを言う」。
写真分析で、よく使われる言葉かも知れません。
と言うのも、写真には「ことば」は写らないから、だと思います。
もの言わぬ写真から、撮影者の意図や被写体からの強烈な訴求を感じる時、それは「目」による印象が大きく影響するのではないで
しょうか。
「目」は、人の思考や心の状態が反映されます。
それは、日常生活の中においてもそうです。人の目をしっかり見て、その動きを観察しながらコミュニケーションを図れば、今その口から紡がれている「ことば」の真意や心の内が、少し見えて来たりするものではないでしょうか?
だからこそ、「ことば」の写らない「写真」という沈黙において、「目」は撮影者の意図や被写体の存在感を雄弁に語りかける、印象的なパーツなのです。
ここまで書いておきながら、この写真では敢えて目を隠しています。
「敢えて」です。
何故かと言えば、彼の「口」が、しっかりと物申していたからです。
前述の通り、写真に「ことば」は写りません。しかし、口角が上がった彼の口元は、その湧き上がる楽しさを表していました。
もともと、いわゆる「あひる口」的な、口角の上がったとっても魅力的な口元の男の子でした。
とは言え、彼は当時体調があまり芳しくなかったようで、それでも一生懸命頑張ってくれていて、そんな彼の健気さに胸打たれたのを覚えています。
撮影終盤、古い機械仕掛けのカメラは、彼の男子ゴコロをくすぐったようで、私はそこに素直な好奇心の発現を見ました。
健気に頑張ってくれていた男の子が、自分の興味と好奇心という楽しみを見出した瞬間。
それは、「頑張ってくれている健気な男の子」から、等身大の、「楽しんでいる彼そのもの」への変化でした。
だからこそ、敢えて「目」を隠し、彼の魅力的な特徴である「口」に全てを語らせます。
写真という沈黙においても雄弁に、高らかに、彼の感情を語る「口」。
少し悪戯っぽく笑う、その口元に宿る感情は、敢えて「目」を隠すことで強調され、見るひとを惹きつけます。
やや下から煽るように撮ることで、無理な体勢でも覗き込もうとする好奇心に突き動かされた彼の行動を、ぐいと迫るような存在感で表現することができました。
この時彼の目は、もちろんキラキラと輝いていました。
その彼の目の輝きは、古いカメラのレンズの向こう側にあります。
彼が覗き込んだその先の世界は、彼の好奇心をより一層刺激するような、面白くて楽しい世界だったでしょうか。
その答は、彼の「口」が語ってくれているような気がします。
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