Staff BlogYokohama Aoba

Reiri Kuroki
横浜青葉店

黒木玲理

初めましての方も、
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こんにちは。

黒木玲理です。

ライフスタジオ9年目、2020年現在は横浜青葉店や新横浜店に在籍しています!

【あなたのための、あなたの写真】を自分の中のテーマに置いて、撮影をさせていただいてます。
blogでは、そういう想いを込めたメッセージや写真の分析をUpしています。

お気軽にのぞいてみてくださいね。

写真分析 / attitude,

2020/1/23

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Photo&Write by Reiri Kuroki

Coordi by Misaki Nakagawa

 

@Yokohama Aoba

 

 

 

無意識の中にこそ、そのひとの姿勢が表れる。

 

その凜とした佇まいに、鏡に映る自分を一瞥したほんの僅かな一瞬に、

『あなた』がどんな時間を積み重ねてきたのかが、見えるような気がした。

 

 

 

彼女は、成人式が終わってから振袖姿でスタジオに来てくれました。

撮影の要望は、振袖姿の写真と、バレエの服でも撮って欲しい、というもの。

習ってらっしゃるのかな、と思いましたが、よくよくお話を伺うと、彼女は既に、ダンサーとしてプロの世界で生きている女性でした。

3歳の頃からバレエを始めて、17年。

「どうしてその世界に進もうと思ったんですか?」と聞くと、何ひとつ力みなく

「それが当たり前すぎて、他のことを考えもしなかった」と彼女は笑いました。

 

屈託がなくて、純粋で、揺るぎない真っ直ぐなその答えに、彼女とバレエの関係性が少しだけ、見えました。

 

 

残念ながら、私はバレエに対しての知識はあまりありません。

それでも、振袖姿からチュチュに着替えて、トウシューズを履いた彼女がポワントですいっと立ったその瞬間に、芸術としてのバレエの美しさを強烈に感じました。

ふわりと、軽々と伸び上がったその四肢はどこまでも柔らかく優雅で、バレエの知識がない素人目にも『美しさ』とはこういうことか、と、直感的に感じさせてしまう説得力に満ちていました。思わず歓声を上げた私に対しても、彼女はサービス精神たっぷりで、流れるようにアラベスクとピルエットを披露してくれました。

音もなく軽やかに、しなやかに動きながらも、魅せるポイントはしっかりと見せて、私のような素人にも伝わりやすいように表現してくれている。彼女のその姿は、ステージでパフォーマンスをするプロとしての意識を感じさせました。

 

そして私は、カメラを持ちながら、自らもプロとしての仕事を成さなければならない、と、強く思うのです。

ひとを撮るカメラマンとして、私が撮るべき『彼女』自身の美しさを、抽出する、ということ。

彼女は表現者であり、バレエという舞踊のその美しさを、培ってきた技術で表します。

それは、『彼女が表現するバレエの美しさ』であって、『彼女』自身の美しさ、とはまた少し違うもののようにも思われました。

しかし、彼女の美しさを表現しようとする上で、バレエもまた分離することはできないくらい、彼女に深く関わる要素です。

ひとの美しさは、そのひとの本質的な部分に在ります。そのひとが、どう生きてきたか、が表れる部分。

彼女の本質には、17年もの間打ち込んできたバレエとの関係性があります。屈託無く、純粋に、揺るぎなく真っ直ぐに、それが当たり前だったと言える彼女のその姿勢こそ、彼女の本質的な美しさを物語っているように思えました。

 

 

無意識の中に、本質が表れた瞬間を、切り取る。

イメージは、華やかなステージではなく、むしろバックステージか、練習場。パフォーマンスをする人が、自らのスイッチを切り替える場所。そこでは、ひととしてのその人自身と、ダンサーとしてのプロ意識が混在します。

鏡を見たその仕草は一瞬の、殆ど無意識のことでしたが、私はその仕草に彼女自身の美しさを見付けたように思いました。

鏡のないステージでは、ダンサーは自分の体の正しい動きを感覚でしか知り得ません。その感覚を信じる為に、鏡の前で何千回、何万回と同じ動きを繰り返しながら練習を重ねて体に覚え込ませていく、そんな時間を積み重ねてようやく体得した技術が自分に備わっていることを、確認するかのような一瞥でした。そのほんの一瞬が、バレエに対しての彼女の真摯な姿勢、生き方を物語っているように思えて、私はその一瞬を印象的に、美しく、ドラマチックに抽出することに集中します。

彼女自身のスタイルを全体像で見せながら、圧縮効果を狙って頭の先と爪先を僅かにトリミングしました。バレリーナのポワントの足元を切ることには少々躊躇いもありましたが、無駄な余白がなくなった分、より2分割の構図が生かされました。左側は前ボケを被せて、インテリアの生々しさが主張し過ぎないようにしています。

鏡に写った彼女の顔は、敢えてぎりぎり目が隠れる角度で収めました。目は、人の顔のパーツの中で最も強く主張する部分でもあります。敢えて目を隠すことで、写真に物語性を感じさせる想像力の余白を付与して、鏡の中の赤い口許に印象の決定打を託しました。

 

その人自身が、ずっと打ち込んできたもの。

そしてこれからも、生きる道となるそれと共に在る、姿。

それこそが、彼女の美しさであり、彼女というひとの本質的な部分であり、写真に残すべき価値のあること、なのだと思います。

 

 

私は、技巧的に特殊なことができるタイプのカメラマンではありません。

しかし、そういう価値に対しての感度は強い方だと思っています。

あなたの為の、あなたの写真。それはその人自身の美しさを抽出した写真に他ならず、そういう写真を残していくことが、カメラマンとしての私の成すべき仕事だと思っています。

 

 

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