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湘南店
『 そこにいる 』
投稿日:2023/2/25
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photo : Masashi Kuroki|coordi : Kimiko Moriya
No.24 Life studio Shonan
撮影をしている時、たまに自分だけその空間からグーッと高速で遠くに引き離される時がある。
勿論、感覚の話なので当然自分はそこにいるし、周りに居合わせている人たちもそこにいる。
だからファインダー越しにいる彼もそこにいる。
しかし、自分の意識だけがかなり遠く(感覚で言うと15mぐらい)から彼を見ている感覚。
そしてこの時は周りの音も遠くから聞いているように静かになる。
例えて言うなら、家でかくれんぼをして押し入れの中で布団に包まっている時に聞こえる友達の微かな声。又は、プールに潜っている時に水面に響いて聞こえる先生の僅かな声。
遠くに離された私はそれぐらいの静寂に包まれる。
だからそこにいるご家族や子ども達の声は微かにしか聞こえない。
しかし、この感覚になった時、ただ遠くにいるような感じというだけではない。
ファインダーから見えるものがそれはそれはとても細かく細部まで見える。
細かく見えるというだけでなく時間の流れさえも遅く感じる。
まるでアスリートの方々が言ういわゆる「ゾーン」のようなものなのか、感覚が研ぎ澄まされている様に感じ、気が付くと自分の望むものが撮れている感覚。
でも、もしかするとこれは自分が望んでいる想像と寸分のくるい無く物事が進んで行った結果、自分の理想と進んで行ったものとがバチーンと合わさったからその後遠くに離されたように感じているのかもしれない。
まぁどちらにせよ、この感覚の時はとにかく心地よく感受性が豊かになり気持ちがいい。
まさにこの瞬間もそうだった。
光や色味、角度や背景などそういった物理的な色々を考えるのは当然の事として、それに合わせて沢山の言葉が降ってくる。
そしてその沢山の言葉が降り止んで浮き上がってきた言葉は「そこにいる」という言葉。
私達が写真として残さなければならないものは「生きている、成長している」という存在の証明。
つまりは「そこにいる」という事。
一人遠くに引き離されたからこそ改めて再認識する大切なこと。
その瞬間は私にとってとても貴重な時間です。
そして、その静寂の世界に大きな声が響き渡ります。
それは彼の妹たちの笑い声でした。
個性とユーモアの塊である二人。
その声のおかげで私は同じ場所に戻ることが出来ました。
彼は「そこにいる」。
私も「ここにいる」。
写真を撮るという事は私自身の存在証明でもあるのかもしれません。
Written by Masashi Kuroki Shonan
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